BCSの表示方法 -5段階と9段階の表示-


 ボディ・コンディション・スコア(Body Condition Score : 以下 BCS)は、乳牛の栄養状態の指標として利用されているものであり、具体的には乳牛の皮下脂肪量またはエネルギー蓄積量を目測する方法のことです。BCSの判定法としては、ファガーソンらのUV法が最も一般的に用いられています。BCSは、UV法を用いて外観し、体脂肪量を目測することで、その程度をスコア1から5までの線形尺度を使用し、0.25ごとにスコアを付けるシステムが一般的です。ここで、UV法とは、体脂肪量の違いを骨盤エリアで判定する方法であり、最も簡便で実用的な方法と考えられています。具体的には、寛がU字に見えたら3.25以上のスコアとし、尾骨靱帯と仙骨靭帯を見ながら相対的な肥満の程度を詳細に採点します。一方、寛がV字に見えたら3.00以下とし、腰骨と坐骨を見ながら体脂肪量の程度にしたがって採点します。


 一方、社団法人日本ホルスタイン登録協会では、スコア1から9までの線形尺度を使用して、1スコアごとに採点する手法が採られています。登録協会のBCSは、5段階の方法と同様、骨盤エリアにおける体脂肪量の違いから相対的な肥満度を評価します。しかし、線形式体型形質の審査と同時にBCSの評価を行いますから、線形式体型形質と同様に9段階の表示方法を採用しています。表1には、BCSにおける5段階と9段階の両表示法に関する比較表を示しました。中等度に相当するスコアは、5段階表示においてスコア3、9段階表示においてスコア5になります。5段階表示では、0.25ごとに採点しますので、合計17のスコアを使用して採点できますが、9段階表示では9のスコアのみを使用し、小数点以下のスコアで採点することはありません。


BCSにおける5段階と9段階表示のスコアの比較


 BCSは、産乳量と繁殖性の牛群管理に利用されることが多く、さらに代謝病や他の周産期の疾病を減少させるための飼養管理の指標に応用されています。BCSは、遺伝率が0.23あることから、飼養管理のみならず、遺伝改良の側面からも改善できる形質です(表2)。また、BCSと乳量の間には-0.40、空胎日数との間には-0.37の遺伝相関が存在することから、産乳量と繁殖性を間接的に効率よく改良するためにBCSを利用することが考えられます。2011(平成23)年8月の遺伝評価成績において独立行政法人家畜改良センターからBCSの遺伝評価値(SBV:標準化育種価)が公表されましたが、これは、日本ホルスタイン登録協会が体型審査の中で収集された9段階表示のデータから推定されたものです。


BCSの遺伝的特徴


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