自動登録同時SNP検査で牛群一括 子牛が生まれたら登録と同時にSNP検査も、4月から開始

 ゲノミック評価とそれを利用したゲノミック選抜は、非常に有望な成長分野として酪農先進国において発展を続けており、日本の乳牛改良においても重要な手法であることは言うまでもありません。ゲノミック評価値を利用すれば、遺伝資源の先取りと世代間隔の短縮によって遺伝改良のスピードアップが期待できます。日本ホルスタイン登録協会(登録協会)は、牛群内のすべての子牛を対象に、速やかにゲノミック評価値を提供するため、平成28年4月から自動登録同時SNP検査を開始しました。


登録と同時にSNP検査ができる


 遺伝改良の観点から言えば、未経産牛のゲノミック評価は初回授精に間に合うように行わないと意味がありません。自動登録同時SNP検査を申込めば、血統登録証明書の発行と同時に毛根採取に必要な毛根採取キット(ビニール袋や試料送付書等)が自動的に届きますので、それらを利用して登録委員とともに毛根を採取してください。毛根を早く採取してSNP検査すれば、それだけ早期にゲノミック評価値を受け取ることができます。図1には、SNP検査を受けた月齢の分布を示しました。未経産牛のSNP検査は、生後2から4ヵ月齢に集中する傾向が顕著になってきています。酪農家の皆さんは、子牛が生まれたらすぐにでもゲノミック評価を実施したいと望んでいることが分かります。


図1.SNP検査を実施した子牛の月齢


 ここで、自動登録同時SNP検査の実施手順を理解してもらうために、申込からゲノミック評価までの流れを図2に示しました。申込み等の詳細については、最寄りの登録取扱団体へお問合わせください。


図2.自動登録同時SNP検査の申込からゲノミック評価までの流れ


すべての子牛をゲノミック評価したい酪農家にお勧め


 自動登録同時SNP検査のもう一つの狙いは、登録と同時に、より早期に牛群内のすべての子牛をSNP検査することで、抜淘汰、優良個体の販売、交配種雄牛選定、血縁関係の確認に役立ててもらうことです。現在、alic補助事業でも、未経産SNP検査を全額補助で実施していますが、農家あたり2~4頭程度の実施と思われます。すべての未経産牛のSNP検査を実施したい農家にとっては、補助事業のみでは満足できないはずであり、それをフォローする点でも、この試みは意義があると考えています。


登録料金の割引で経費軽減


 自動登録同時SNP検査では、登録料金等の割引措置があります。自動登録と同時にSNP検査の自動受付を行うことで登録協会の事務の合理化を図ることができることから、血統登録証明書の交付料金を半額に引き下げることが可能になりました。また、この半額割引は、自動登録同時SNP検査の実施にともない、検査頭数が増加しますので、酪農家の経費負担を軽減するためにも役立つのではないかと思っています。
 なお、SNP検査が血統登録の証明日から3ヵ月以上経過した場合は、血統登録料金が通常料金(差額を請求します)になりますので、ご注意ください。


alic事業のSNP検査を優先してください


 平成28年度のalic事業におけるSNP検査は、昨年度と同様に後代検定調整交配娘牛(調整交配娘牛)およびそれと同頭数の同期牛が対象になる予定です。調整交配娘牛は、全期間を通じて、すべてalic事業で毛根採取を実施しますので、自動登録同時SNP検査の対象外になります。登録協会北海道支局からは、試料送付書とビニール袋を送付しません。また、その場合、自動登録料金は通常の金額になりますので併せてご承知ください。
 調整交配娘牛の同期牛は、登録協会において事前に把握できませんので、3ヵ月間の猶予期間を設け、それ以内にSNP検査が終了していない場合は、alic事業の対象牛と判断しますので、血統登録証明書の交付は通常料金になります(差額請求)。alic事業の毛根採取は、年度始めから11月末日(翌年2月評価に間に合う日程)までが大体の実施期間であり、この期間は牛群検定組合において検定員がSNP検査用の毛根を採取する場合があります。その場合は、alic事業を優先させてください。具体的に言うと、alic事業の毛根採取期間は、ゲノミック評価が多少遅くなっても構わなければ、登録協会北海道支局から試料送付書とビニール袋が届いてもすぐには採取せず、3ヵ月間の猶予期間中にalic事業の対象から外れたことを確認し、毛根採取を実施してください。




自動登録同時SNP検査の疑問にお答えします。


質問1:申込みはどうするのですか?


アンサー  「自動登録同時SNP検査農家申込書」を最初に一度だけ提出すれば、すぐに開始できます。

質問2:申し込みできる農家の条件は?


アンサー  自動登録農家であり、かつ牛群検定に加入している農家であれば、だれでも申し込みができます。なお、「SNP検査牛の遺伝情報などに係る承諾書」を提出してください。

質問3:もし、途中でやめたくなったら、すぐにやめられますか?


アンサー  「自動登録同時SNP検査農家中止申請書」を提出すれば、翌月から毛根採取キットが届かなくなります。

質問4:中密度(MD)チップでもSNP検査ができますか?

アンサー  基本は低密度(LD)チップですが、子牛によっては中密度(MD)チップで検査を希望する場合もあります。 その場合は、毛根を検査機関に送付する前に登録協会北海道支局登録部宛に電話またはファックスで連絡ください。

質問5:SNP検査料金は、安くならないの?


アンサー  SNP検査を推進するうえで最大の課題は、料金が高額であることです。 しかし、SNP検査は検査機関(家畜改良事業団)に委託しているため、その料金を簡単に割引することができません。 しかし、SNP検査を同時に実施した際には、血統登録証明書の交付料金を半額に割り引きます。

質問6:どうしたらゲノミック評価値を見ることができるの?


アンサー

 日本ホルスタイン登録協会が発行している牛群遺伝情報(無料)で見ることができます。 また、より早く知りたい場合、牛群遺伝情報Web版(無料)により、公表後3日以内にゲノミック評価値を開示しています。[図3]。 さらに、ゲノミック評価結果を記載した血統能力証明書は、一括交付サービスを利用すれば、通常料金の半額になります。

図3.牛群遺伝情報Web版の見方

質問7:SNP検査で親子疑義になった場合、親子判定は料金がかかるの?


アンサー  自動登録同時SNP検査を含め、登録協会に直接申込まれたSNP検査は、当分の期間、2回目の親子判定まで無料で実施し、 正しい両親が判明すれば、血統登録証明書を更正(無料)します。 なお、3回目以降の親子判定の料金は、生産者負担になる場合があります。 注意:alic事業のSNP検査では、2回目以降の親子判定の料金が生産者負担になります。

質問8:自動登録同時SNP農家で、alic事業のSNP検査を受けた子牛の血統登録証明書は半額になるの?

アンサー  この場合の血統登録証明書は通常料金であり、半額になりません。 また、血統能力証明書の一括交付サービスも対象外となります。

質問9:間違って、alic事業のSNP検査と二重に毛根採取を行った場合、SNP検査料は?


アンサー  すでに検査機関でSNP検査が行われていれば、自動登録同時SNP検査から検査料金を請求しますので、注意してください。 ただし、血統登録証明書の交付料金は半額割引の対象です。 いずれにしろ、尾房に毛根採取の痕跡がある場合は、すでに牛群検定組合の検定員による毛根採取が行われた可能性がありますので、 生産者に確認し、二重の毛根採取を避けてください。

質問10:調整交配娘牛と一般供用種雄牛から生まれた娘牛の違いは?


アンサー

 例えば、平成26年度後検種雄牛の調整交配娘牛の場合、登録協会では平成27年1月1日から平成28年12月31日の期間に生まれた娘牛としています。 それ以降に生まれた娘牛は、すべて自動登録同時SNP検査の対象になりますので、 血統登録証明書の発行と同時に毛根採取に必要なビニール袋や試料送付書を送付します。 なお、調整交配娘牛の血統登録証明書には、右上に「〇後検」と印字されていますので、 調整交配娘牛を確認することができます(〇は種雄牛の後検年度)。[図4]

図4.後代検定調整交配によって生産された娘牛の血統登録証明書

質問11:ゲノミック評価値の公表日に間に合う毛根必着日は?


アンサー  こちらのURLをご参照下さい (随時、更新されます)。

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