導入の歴史
北海道における、血統登録牛の導入は明治22年に輸入されたものがはじまりで、主に官公庁によるものであった。明治後期になって民間人により輸入が行われるようになり、大正時代まで続いた。
昭和初期の時代は、農業恐慌や満州事変以後の戦時体制の異常環境下におかれたため明治、大正時代に比べ低調だったが、昭和22年戦後復興支援物資(ララ物資)としてアメリカから雄牛が贈られたのが戦後最初の輸入であった。日本人による選定輸入が再開されたのは昭和27年で、以後各牧場の基礎種牝牛、人工授精用基幹種雄牛の導入が続いた。雌牛には40年の加工原料乳生産者補給金等暫定措置法制定によるいわゆる不足払い制度に続く輸入雌牛輸送補助の政府施策を背景に約1700頭が輸入された。
さらに、50、60年代は円高のメリットという経済的背景も手伝い戦後44年間での輸入は雌牛約7千頭に及んでいる。
平成年代にはいり、輸入受精卵、輸入精液等の流通により「遺伝子の国際化」が顕著となった。また、BSEの影響により生体輸入が中断された事も手伝い、北米を中心とした優秀なファミリーの受精卵導入に拍車がかけられ、MOET等の手法を使い着実にファミリー形成しつつある。
 
戦前までの主な輸入牛と活躍している子孫
明治22年
1890年
札幌札幌農学校(現北海道大学)輸入


♀ 2フリージア(和名:漣)

北海道におけるホルスタイン種牛の最初の輸入牛である。
子孫は全国に分散し、ゲツケイ、ミドリ、ツネ、メリー、スマなどの名号で活躍している。

  エルムレ-ン フリ-ジア 
    カスケ-ド スカイチーフ

ピ- エフ ダンデイ 
    
メリ- ジエ-ン

 
93
94
  恵庭市(有)福屋牧場 北 村 今西 善也

♀ ネザーランド アーギー ウオルトライン(和名:千鳥)

2 フリージア同様最古の歴史を持つ。
子孫は別海・杉谷牧場、長沼・向牧場、長浜牧場で5世代EXを達成している

 
日本初の5代EX級達成
ロングビーチ トニー ジエツド ET  
 
90
  長沼町 長浜秀人  
明治34年
1901年
岩手県 小岩井農場輸入

♀ 2 エムマ 

6代目のロード ホープ号を小岩井農場より、遠軽畜牛組合(岸 勝氏)が導入。

北見地方を中心に繁栄している。

 
S56道ホルスタイン共進会 最高位賞
ホープ スカイラーク クリスタン  
 
94
  奈井江町 北 良治  
明治40年
1907年
白石村 宇都宮仙太郎氏輸入

♀ ルンド ブレダ(右)

宇都宮牧場の基礎牛、戦後初のEX牛、ビーマン セジス ヤング ルンド等を輩出

♀ ベル ネザーラン ジユウエル マーセーズ(左)

宇都宮牧場の基礎牛、胆振・池田牧場などで
活躍している。

   

 

  8回全共 母系牛群名誉賞
  ベルガール バーク モデル
    ベルガール バーク クリスト
  早来町 池田 牧場
     
札幌市 大内牧場輸入

♀ メクシルド ルー 

子孫は高能力で、江別を中心に石狩・空知地方と八雲町周辺の2つに分派し「ヤナギ」系として全国で繁栄している。

 
生涯乳量14kg突破
ドリームフイールド トリプル ヤナギ
 
92
  帯広市  杉浦 尚  
明治41年
1908年

月寒村 吉田善助氏輸入

♀ チユンキー ジユウエル

子孫は極東牧場、岩見沢市・引頭友一氏、安平村・小華和一男氏で繁栄し、千葉県をはじめ全国に広まっている。

 
ラツキーヒル マストロ クリーメル ET
 
88
  ニセコ町 高橋 守  

♀ レデイ ロングフイールド フオース ホームステツド

子孫は高能力を発揮し、極東農場から北見畜産組合を経て上湧別・斉藤金三郎氏に移動され北見地方で活躍していた。安平村・竹田剛氏が斉藤氏から導入し胆振地方でも繁栄し「ロングフイールド」系を確固たるものになった。

 
   
明治42年
1909年
旭川市 旭農場(小林直三郎)輸入

♀ アイダ ロツタ アールチエ サロ

町村敬貴氏の選定によって旭農場が輸入し、後に町村氏が譲り受けたもの。

 
2回全共 経産名誉賞
2フエムコ オブ アールチエ ヒカリ
 
87
  江別市 町村 敬貴  
滝川村 三輪精一氏輸入

♀ フレンド デ コール デンバー

娘(2フレンド デ コール デンバー)を山田哲氏が譲り受け、滝川酪農公社の変遷とともに胆振地方から「マダム」系として全国に広まる。

 
9回全共 多回検定名誉賞
フロンテイア バーク マダム ミステイ ET
 
91
  恵庭市 清水 勝  
明治44年
1911年
月寒種畜牧場輸入(オランダ)

♀ 2アーフエ

娘(ゲムメ)が砂川・滝川酪農公社に払い下げとなり、高能力の「ゲムメ」系とし胆振地区を中心に活躍。

 

 
3代EX級、一族には元日本記録牛
ミス チヤーマー アストロ ジエツト マリア
 
91
  豊富町 白田 健次  

♀ 4シーチエ

月寒種畜牧場輸入、北村・北村謹氏を経て岩見沢町・今西与作氏に移り繁殖に供された。子孫は泌乳能力を向上し、空知地方のほか十勝、胆振、道南ほか各地で活躍している

   
   
 
大正 元年
1912年
月寒種畜牧場輸入(オランダ)

♀ 3アリダ

子孫は空知地方で活躍、同時輸入されたキング セジス ポンチアク ルンドとの配合の相性が良く「ヒンペル」系を確立した。

  H4道ホルスタイン共進会 準最高位賞  
ゴールドラツシユ フアンタジー スターフイールド ヒンペル
     アイニツシユ ブルー
 
92
92
  北村 今西 善也 中標津町 星野 勇一
大正 2年
1913年
月寒種畜牧場輸入(オランダ)

♀ 8ダビドソン 

月寒種畜牧場輸入
北村・北村謹氏を経て瀬能幸太郎氏へ移り空知で活躍している。
石狩では白石村・長浜万蔵氏によりアイコール、ウイローで、十勝では大樹・建木勇次郎氏によりゼラ・ローズの名で活躍している

  8回全共 4才級 優等賞 6回全共 母系牛群優等賞メンバー
ゼラ ローズ クリスタン 
         ビー フタゴ
エツチ エム ウイロー
         アイバンホー
 
92
  大樹町 建木 勉 長沼町 向 弘行

♀ 16ドラ

娘牛が豊平町・阿部與之助氏に払い下げられ、高能力を発揮した。「ヤン・ドラ」系その後、清水町・大谷友太郎氏、西倉栄吉氏に分派し当時の記録を樹立しが確立された。

 
   

♀ 3ネリー

月寒種畜牧場輸入、大正7年北海道帝国大学農科に移動し繁殖に供される。子孫は北村の北村謹氏、堀巳之松、砂川時代の滝川酪農社に払い下げられ、空知・胆振地区を中心に繁栄した。

 
0304道ナショナルショウ R・G・C 13回道総合共進会 R・I・M・C  
レークビユ- セジス 
        ネルソン ミラ-
 
 
92
  佐呂間町 惣田 和雄  
大正 8年
1919年
町村敬貴 雌牛9頭、雄牛1頭輸入(アメリカ)

♀ テツチエ ジヨハナ オブ リバービユー

町村牧場の基礎牛。輸入牛から4代目を北見市佐藤正七氏が譲り受け北見地方を中心に活躍している。

 
  10回全共 多回検定 名誉賞  
ヨシノフア-ム エコ- ミスト  
 
95
  北見市 吉野 尚司  
大正11年
1922年
木村利建 輸入(アメリカ)

♀ エコーランド アビー オームスビー

輸入牛から3代目、木村牧場から稚内・福沢牧場へ移動。
宗谷地方中心に「エコーランド」の名号で活躍している。

 
   
大正12年
1923年
北海道庁種畜牧場 輸入(アメリカ)

♀ M B B ラツス オームスビー

アンバツサダーの名前で繁栄

   
   
町村敬貴 輸入(アメリカ)

♀ アールチエ サロ ポンチアク ジヨハナ デ コール

町村牧場の基礎牛。 ポーラ系の元

 
   

♀ 2エルメン カナリー デ コール

輸入牛から6代目(4芙蓉)を北海道農業試験場から北村・瀬能清氏が譲り受け、「ハーバート」系に発展した。

  5回全共 6歳以上 優等賞 7回全共 経産 名誉賞
ハーバート マドキヤツプ ラツキー ハイローン サイテーシヨン レツド
 
90
93
  北村 瀬能 豊 早来町 楠木英仁
大正13年
1924年
北海道庁種畜牧場 輸入(アメリカ)

♀ M B B バーク プライド

輸入牛から4代目を北海道農業試験場から北村・北村昌次氏が導入、その娘牛を札幌市・黒沢勉氏が譲り受け、両牧場の基礎牛として繁栄している。

  4回全共 4歳未満 優等賞 H4道ナショナルショウ IM・C
ホワイト バーチ バター 
        ガール プライド
ルフアーム クリス 
      アスター ダーハム
 
89
  札幌市 黒澤 勉 奈井江町 北 良治

♀ M B B バーク

北海道道庁種畜場輸入、子孫は各地に払い下げされ繁栄度は特筆に価する。宇都宮牧場の基礎牛でも有名、ホナミMBB、十勝・バークは同系譜である。

  1回全共 経産 名誉賞 2回全共 未経産 名誉賞
マラソン ベツス バーク 
       ロメオ ジエマイマ
レイブン ベツス バーク 
        ジエマイマ コバー
 
86
  札幌市 宇都宮 勤 札幌市 宇都宮 勤
     
 
  M2万kg 3回突破 02北海道BW GC
  ホナミ M B B チエアマン ET ベルベツト バーク チヤリテイ
 
89
92
  訓子府町 龍田 弥太郎 清水町 浅野 勲

♀ ダツチランド コーニゲンベール コーニユコピア

北海道道庁種畜場輸入、子孫は北見地方中心に繁栄している。

 
ニユーバーチ ロイ バーク 
      カウンテス コピア
 
 
91
  訓子府町 渡辺 繁敏  
 
昭和4年
1924年
空知畜産組合 雌牛9頭、雄牛3頭輸入(アメリカ)

♀ 5スカジツト スサ ポンチアク

滝川村・富樫勲所有
胆振地方中心に「スカジツト」で繁栄している。

一族は高能力で日本記録牛も輩出している
クイーン ベル ロツクマン
             エコー
86(左・母)
テラモト ホームツド 
       エコー マリナー
 
88(右・娘)
  稚内市 寺本 幸男
昭和12年
1937年
町村敬貴氏 輸入(アメリカ)

♀ シーダーローン ベツス ポシユ

町村牧場の基礎牛

  4回全共 経産 名誉賞 8回全共 多回検定 名誉賞
ロベス アイデアル コーンフラワー アイランド ベツス テルスター エル
 
90
93
  江別市 町村 敬貴 大樹町 島田 成司
 
最近20年の輸入頭数と受精卵移植による登録頭数推移
輸入頭数
受精卵移植による登録頭数
北海道
都府県
北海道
都府県
アメリカ
カナダ
小計
アメリカ
カナダ
小計
60年
 
 
0
 
 
 
0
0
71
37
108
61年
 
 
0
 
 
 
0
0
157
85
242
62年
19
9
9
112
71
 
183
192
236
153
389
63年
12
3
3
417
102
 
519
522
242
256
498
元年
22
11
11
705
99
 
804
815
256
353
609
2年
49
50
50
485
111
 
596
646
305
431
736
3年
41
21
21
183
30
 
213
234
351
534
885
4年
37
9
9
105
24
 
129
138
449
625
1,074
5年
9
8
8
112
23
 
135
143
450
626
1,076
6年
6
8
8
71
25
 
96
104
466
687
1,153
7年
67
5
5
376
388
 
764
769
521
627
1,148
8年
50
12
12
939
841
 
1,780
1,792
557
902
1,459
9年
6
5
5
149
142
 
291
296
716
786
1,502
10年
8
15
15
16
114
154
284
299
718
891
1,609
11年
2
3
3
5
16
 
21
24
786
825
1,611
12年
4
7
7
39
86
 
125
132
749
875
1,624
13年
6
1
1
139
170
 
309
310
869
993
1,862
14年
1
6
6
1
12
 
13
19
808
585
1,393
15年
1
2
2
23
14
 
37
39
791
690
1,481
16年
0
0
0
0
0
 
0
0
945
884
1,829
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