2008-10


平成20年7月14日公表
      
乳  用  牛  飼  養  動  向
 
戸数・頭数共に大幅な減少、1戸当たり頭数は北海道では増加、都府県では減少
   
 農林水産省では、平成20年2月1日現在の「畜産統計」を公表した。
 それによると、乳用牛の飼養戸数・頭数は高齢化や飼料価格の高騰による廃業などで減少が続き、今年度の全国の飼養戸数は2万4,400戸で前年に比べ1,000戸(前年対比3.9%)減少し、飼養頭数も153万3,000頭で、前年に比べて5万9,000頭(前年対比3.7%)減少した。
 前年対比を図1で見ると、北海道の搾乳牛が101.8%・乾乳牛が102.6%と増加(搾乳牛:7,100頭、乾乳牛:1,800頭の増加)しているのに対し、未経産牛が減少し、前年対比92.9%、2万5,700頭の減少となっている。
 これら経産牛の増加は、各乳業会社による工場の増新設によるところが大きく、また、未経産牛の減少は減産型計画生産による交雑種の作出が多かったことが原因と思われる。
 飼養戸数・頭数を図2で見ると、全国の一戸当たり飼養頭数は62.8頭で前年とほぼ同じ(昨年62.7頭)である。
 北海道と都府県で比べると北海道が101.3頭と前年比0.7頭増加しているのに対し、都府県では43.8頭と0.4頭減少している。
 その中にあって、昨年より増頭している農業地域が近畿と四国地域で、近畿が昨年より1.0頭増加し41.9頭に、また、四国が0.5頭増加し40.0頭となっている。
 飼養戸数を都道府県別に見ると、北海道が8,090戸と一番多く、次に岩手県が1,510戸、千葉県の1,080戸の順となっているが減少巾も大きく北海道は前年より220戸(前年対比-2.6%)減少し、岩手県が80戸(前年対比-5.0%)減少している。都府県の合計では16,300戸と、前年に比べ800戸(前年対比-4.7%)減少した。また、減少率の一番多いのは和歌山県で-19.2%となっている。
 飼養頭数を都道府県別に見ると、北海道が81万9,400頭と最も多く全国の53.5%を占めている。
 次に栃木県の5万6,700頭、岩手県の5万700頭、熊本県の4万5,200頭の順となっている。
 しかし、一昨年からの減産型計画生産により交雑種の増加の影響からか、北海道の減少も多く前年より1万6,600頭(前年対比-2.0%)減少し、栃木県では2,100頭(前年対比-3.6%)減少、岩手県は3,100頭(前年対比-5.8%)減少、熊本県は4,000頭(前年対比-8.1%)の減少となっている。
 都府県の合計では71万3,300頭で全国の46.5%で、前年に比べ4万2,800頭(前年対比-5.7%)の減少で昨年の約1.8倍(昨年19,600頭の減少)の減少となっている。また、減少率の一番多いのは三重県で-11.6%となっている。
 1戸当たりの飼養頭数を都道府県別にみると、北海道は前記の通り101.3頭で一番多く、次に飼養頭数の減少率の一番多かった三重県が76.6頭(昨年より4.5頭減少)、大分県が73.2頭(昨年より0.8頭増加)の順となっている。

 

   
     
      ~浸透~ 第3回全日本ホルスタイン共進会

 今月号では、第3回全日本ホルスタイン共進会の様子を紹介させていただきます。
 第3回全共では第1回が開催された時の大興奮の状況とは異なり、穏やかな論調の記録・記事が残っています。第1回から10年の経過と3回目の開催により、全共が確立された事業となりつつある様子も窺えます。   
必勝祈願の「のぼり」がはためく出品牛舎
   
また、開催を重ねる毎に出場頭数と参観者数が増加し、出品区分の細分化が行われ、さらには遺伝の重要性を考慮した試みとして、系統群クラスの新設と見直しが行われるなど、全共開催の意義と目的が着実に浸透し明確化している事が想像できます。
 第3回全共は1961年(昭和36年)3月23日~27日の5日間、長野県松本市において全国42都道府県から226頭(北海道16戸25頭)の出品の中、皇太子殿下御夫妻(現天皇陛下御夫妻)のご台臨と高松宮殿下のご臨席をいただき、参観者約30万人を迎えて開催されました。また、海外からはアメリカ・カナダ・ドイツの登録協会やカーネーション牧場など酪農関係者の来賓があり、7点の褒賞・賞品がアメリカ・カナダから贈与されており“日本ホルスタイン”に寄せる酪農先進国の関心の高さが窺えるようです。
    


   
皇太子殿下御夫妻
(現天皇陛下御夫妻)
賞品として名誉賞に贈与された
アメリカホルスタインフリージアン協会ツルータイプ

〔出品区分〕
   出品区分は、ホルスタイン種雌牛の未経産2クラス、経産2クラス、雄牛1クラス、種系雌牛の未経産と経産各1クラス、父系統群、母系統群の計9クラスに加え乳器特別審査が行われました。

      
   
第3回全共  出品頭数    226頭
ホルスタイン種 未経産牛 第1部 49頭   12月~17月
第2部 55頭   18月~29月
経 産 牛 第3部 30頭   
第4部 37頭   高等登録牛 48ヵ月以上
雄   牛 第5部 19組   12月~29月
ホルスタイン種系 未経産牛 第6部 11頭   12月~29月
経 産 牛 第7部 21頭   
父系統群 第8部 6組   4頭 1組  
母系統群 第9部 2組   母・娘2頭
乳器特別審査の部         第3・4・7部 出品牛   43頭
高等登録牛:審査得点・検定能力が基準を満たし登録証明されたもの
   

〔出品頭数の制限〕
  第1・2回の全共では1戸の出品頭数の制限は無く、各クラス2頭までの出品が認められていましたが、第3回全共においては出品頭数が制限され、父母系統群のクラスを除く雌牛において1戸の出品頭数は2頭まで(雄牛を含む場合3頭)各クラス1頭の出品制限が設けられました。
 

〔母系統群〕
 今回から新設された母系統群のクラスにおいては、母牛と娘牛2頭による3頭1組の構成でしたが、結果として2組6頭の出品となり、その2組の母牛は全共当日12歳と13歳でした。(当時の1戸当り平均飼養頭数は2.1頭であり、母牛と経産の娘牛2頭を揃える難しさがあったようです)
千葉県出品牛
(右奥:母牛、手前2頭が娘牛)
   
静岡県出品牛
   
 審査講評:1等賞の母牛は11歳4ヵ月で7産を経ていますが、活力的でなお若々しさを持っています。娘牛は品位、体型、資質、特に乳牛らしさや、乳房の質の優れたところが、母牛と共によく揃っています。しかし、この反面共通して体積、骨量、肢蹄、乳房の形状等に不満足なところがあります。2等賞の母牛は12歳で10産を重ねた優良多産牛であります。娘牛は父も同じ全姉妹牛の関係も有りますが、品位、体型、資質が良く揃っていますし、それが母牛とよく似ているのでありますが、まことに残念な事に母牛が10産を重ねたとはいえ、著しい垂れ乳房を示し、この傾向がまた娘牛の乳房の付着面の狭さに幾分表れていることであります。
   
会期の4日目には夜半から雪が降り
審査中にはみぞれにも見舞われた
   
牛衣をまとって出陣
  
盛況の全国酪農展と機械展示会
   
〔乳器特別審査の部〕
   この部は、経産のクラスに出品された牛達が出場し審査を受けました。初産泌乳中が2頭、2産以上泌乳中が40頭、乾乳中1頭、計43頭の出品となりました。当時の審査標準(雌)では、一般外貌30%、乳用牛の特質20%、体積20%、乳器30%(乳房の質10・乳房の容積と形状12・乳頭3・乳静脈5)となっています。43頭の審査において8頭が優良賞に選ばれました。

〈優良賞 2産以上泌乳中〉
  
年齢は出品時の年齢、()内は最高乳量時の検定成績

テッチェ レーモンデール ロベル 4部1等1席
6歳5ヵ月 北海道:町村敬貴氏出品
(07-04 05産 3 365 11,897kg 500kg 4.2%)
  
キタヨシ アールチェ 7部名誉賞
4歳4ヵ月 鹿児島県:北薗篤芳氏出品
 
第2 ロングフィールド デ コール マスター 4部1等2席
7歳5ヵ月 北海道:竹田 剛氏出品
(08-00 05産 3 365 13.807kg 591kg 4.3%)
ナガノ カネマサ ヒムぺル マタドーア 7部1等2席
6歳3ヵ月 長野県:宮山芳雄氏出品
(03-00 01産 3 303 7.158kg 252kg 3.5%)
アールチェ コランサス ロベル 3部1等2席
3歳9ヵ月 北海道:町村敬貴氏出品
(04-09 03産 3 365 9.957kg 424kg 4.3%)
チュンキー フェムコ ジェラルデイン セレククト 4部2等5席
8歳1ヵ月 千葉県:生稲 清氏出品
(03-10 01産 3 365 9.359kg 309kg 3.3%)
  
  
〈優良賞 初産泌乳中〉
  
  パブスト サイクロン オームスピー 3部1等1席
  3歳2ヵ月 北海道:宇都宮 潤氏出品
 (07-07 05産 3 365 8.833kg 389kg 4.4%)
 第2 ロメオ バーク レイヴン 3部2等2席
 2歳11ヵ月 山形県:佐藤時夫氏出品
  

 審査講評:前回と比較しますと、乳房の質と前乳房の張りが良くなり、一般に形状が良く揃って優劣の差が少なくなった。全般的に共通する欠点は、左右乳区間の切れ込みの深いものが多く、付着の弱いもの、乳頭の形が中庸を得ていないもの、配列が不整で正しく垂下しないものがあった。乳静脈、太さは良いが屈曲するもの少なく、また優秀な乳静脈を示しても、乳房が垂れ過ぎる等、乳器全体を総合して満足するべきものは見当たりませんでした。
    
    
 さて、ここで全共の話題から離れて…
 第3回全共が開催された1961年(昭和36年)はどんな年だったのでしょうか?
  
  
〔酪農:戸数・頭数〕
 下のグラフに第1回から第12回までの全共開催年毎における[乳用牛頭数と飼養戸数の推移]と[一戸当り飼養頭数の推移]を表しました。第3回全共の1961年(昭和36年)は、乳用牛頭数88万5千頭を数え、以降増加を続け第8回の1985年(昭和60年)には211万頭のピークを経て、前回の第12回の2005年(平成17年)には164万頭弱の推移となっています。乳牛飼養農家戸数については、この年41万3千戸を数え2年後の1963年(昭和38年)には41万6千戸を超えましたが、以降は減少を続け第12回の2005年(平成17年)には2万6千戸台となりました。なお、1戸当り飼養頭数の推移では第1回の1.5頭から始まり第12回では62頭を数えるに至っています。
 また、この年の生乳出荷量は185万tを超え、1頭当たり平均乳量は4,460㎏との記録がありました。
注)生乳出荷量と1頭当たりの平均乳量は[石]を換算した値です。 
   

〔農業基本法〕
 農業界のとても大きなトピックスとして、『農業界の憲法』という別名を持った「農業基本法」がこの年に制定されています。当時は経済成長が急激に進み、農業と他産業との間で生産性や生活水準などに大きな格差が発生してしまい、この格差を是正するため、生産政策、価格・流通政策、構造政策を柱として農業行政の基本的な進め方を「農業基本法」に定めて以後の農政が進められました。この法律により、構造改善政策や大型農機具の投入が行われ、農業の近代化が進められました。結果として生産性は飛躍的に伸び、農家の所得を伸ばすことにも成功しましたが、農家の兼業化(農家戸数に対し就業人数が下回る)が進むとともに、近代化による労働力の大幅削減で農村の労働力が都市部へ流失してしまいました。この政策が多くの成功を導いた反面、農業の担い手不足問題や農村の活力低下あるいは農地面積の縮小などを招くきっかけとなり、食料自給率低下の要因を作ってしまいました。
 この「農業基本法」の施行に伴うような典型的・具体的な社会現象として【集団就職:集団就職列車】がありました。中学校を卒業した農家の次男以降の子や職を求める女の子たちが、東京を主とした都市部の工場などに就職するため、臨時の集団就職列車が運行されており、1954年(昭和29年)から20年余りに渡り就職者を送り続けました。この頃より、労働力の源となり日本経済を押し上げ支え続けたのが農村からの集団就職で都会に迎えられ「金の卵」ともてはやされた青少年たちでした。当時、東京上野駅は東北や北海道から上京する時の玄関口であるとともに集団就職や出稼ぎの象徴の駅であり、後には有名な歌謡曲「あゝ上野駅:どこかに故郷の香りをのせて~」にその情景が歌われていました。
※「農業基本法」:1999年(平成13年)には廃止され、新たに「食料・農業・農村基本法」が制定されています。


1961年(昭和36年)
   
[時世] 
   国民年金保険料徴収開始
四日市ぜんそく
イタイイタイ病
ベルリンの壁
人類初の宇宙旅行(ソ連ガガーリン少佐)
  
[世相・流行・etc..] 
所得倍増
景気行過ぎ
巨人大鵬卵焼き
ドドンパ
  
[うた] 上を向いて歩こう
銀座の恋の物語
君恋し
硝子のジョニー
スーダラ節
  
[物価] 大衆車トヨタパブリカ(700cc)
大卒初任給
新聞購読(月額)
はがき
ビール
国鉄初乗り
ラーメン
牛乳1本
398,000円
14,817円
390円
5円
125円
10円
50円
15円


   
資料・写真   第3回全日本ホルスタイン共進会記念誌
          デーリィマン1961-第11巻・第5号


体型審査の予定は次のとおりです。
も寄りの登録取扱団体にお申し込み下さい。

日程 10月27日~11月8日

 □上川地区
   全管内
 □後志・渡島・檜山地区
   全管内
 □十勝地区
   新得・清水・芽室・鹿追・士幌・上士幌
 □釧路地区
   釧路・阿寒・鶴居・幌呂・白糠・音別・弟子屈
 □網走地区
   丸瀬布・遠軽・上湧別・湧別・芭露・生田原・白滝・留辺蘂・温根湯
 
日程 11月10日~11月21日

 □十勝地区
   中札内・更別・大樹・広尾・忠類
 □釧路地区
   標茶・浜中・厚岸
 □根室地区
   根室・別海・標津
 □網走地区
   北見・相内・上常呂・置戸・訓子府・端野・美幌・女満別・津別
 □留萌地区
   全管内
 
日程 11月 25日~12月6日

 □胆振・日高地区
   全管内
 □十勝地区
   帯広・川西・大正・音更・木野・高島・池田・幕別・札内
 □根室地区
   上春別・中春別・計根別(一部)
 □網走地区
   網走・佐呂間・常呂・東藻琴・斜里・小清水・清里
 □宗谷地区
   全管内

 
日程 1月 13日~1月24日

 □石狩地区
   全管内
 □空知地区
   全管内
 □十勝地区
   豊頃・浦幌・本別・足寄・陸別
 □根室地区
   西春別・中標津・計根別
 □網走地区
   紋別・上渚滑・雄武・興部・滝上・西興部




ひとこと
 今年、世界中のメインイベントといえばやはり北京オリンピックではないでしょうか。
 あの豪華で色艶やかな開会式に始まり、17日間にわたって熱戦が繰り広げられた北京オリンピックは、8月24日の閉会式をもって閉幕しました。日本のメダル獲得数は、金9個、銀6個、銅10個の計25個。選手の活躍に一喜一憂し、歓喜を味わい、スポーツのすばらしさを改めて実感した北京オリンピックだったのではないでしょうか。
 特に、競泳 北島選手の100m平泳ぎ世界新記録での金メダルは日本国民誰もが感動し、フェンシング 太田選手の銀メダルには驚き、マラソン、野球、男子サッカーの結果には落胆し、女子ソフトボール悲願の金メダルには誰もが歓喜し、涙したことでしょう。
 そんなオリンピックも過去となり、ふと振り返るとこの業界とリンクする部分もあったように思います。それは後継者の育成です。オリンピックを見ても金メダル9個の内、7個が連覇でした。連覇がいけないといっているのではありません。毎年開催される世界選手権とは違い、4年に1度しか開催されないオリンピックで連覇するということは並大抵の努力や根性で達成できるものではありません。しかし、スポーツなどは特に新しい世代、新しい力が次々と虎視眈々上を目指すことにより活性化するものだと思うのです。
 我々酪農業界も同じではないでしょうか。少子化が進み食料自給率が低下している昨今、次の世代を幾重にも確保し育てていかなくては日本の酪農は危機を迎えるように思えるのです。
 現在、北海道内には管内、市町村を含め19のジュニアホルスタインクラブがそれぞれ後継者育成のため活発な活動をしています。その全道19クラブのほとんどが1年に1度、ナショナルショウで顔を合わせ、牛の引き方、クイズ大会、ビンゴゲームなどで親睦を深め、思い出を刻んでいます。みなさんも記憶にあるのではないでしょうか。親元を離れ、共進会で友達、先輩、後輩と外泊した時の楽しさはいまだにすごく楽しかった思い出として心に残っているはずです。その楽しさをもっと子供達、後継者達に教え伝えて酪農に対する夢や希望を共進会の場を借り育んでやるのも親の役目ではないでしょうか。
 この通信が皆様の手元に届くころには、すでにナショナルショウは終わっていますが、毎年ナショナルショウの併催行事として、初日終了後の共進会場内で未来の酪農家たちが違う意味での金メダルを目指し、遊び学んでいます。機会がありましたら、是非会場に足を運び子供たちの初々しい姿を見てはいかがでしょうか。

 
N.U+1
 

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