2009-1



年 頭 の ご 挨 拶
代表理事組合長 北 良 治
 新年あけましておめでとうございます。
 平成21年の輝かしい新年を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。

 今年の干支は、丑(うし)ということもあり、当組合にとりましても、牛歩のごとく一歩一歩着実に基盤の安定と強化に向けて前進できるように決意を新たにしているところであります。
 昨年を振り返れば、世界的な燃油高騰、アメリカに端を発した世界金融危機、そして円高の加速等、物作り立国の日本として産業基盤を揺るがす深刻な状況に直面した一年でした。更には、食の安全・安心を揺るがす事件も多発し、食料自給率向上の観点からも国内農畜産物の安全で安定的な確保が益々重要となっているところであります。
 このようなことから、北海道酪農畜産への期待が一層高まっており、これを追い風に当組合事業が皆様の経営安定・向上に繋がるよう努めて参る所存です。
 本年は、北海道の玄関口である千歳空港に近い安平町の当組合所有地にホクレン農協連と共有の家畜市場施設が今年10月末に完成することになります。今後の道内乳用・肉用牛個体の販売拠点としてより多くの購買者が訪れることを期待しております。
 さらには、来年の平成22年10月には、この会場で第13回全日本ホルスタイン共進会を開催する運びであり、国内最大規模の共進会出品牛施設として、全国の出品者・関係者を歓迎する準備を進めているところであります。
 このようなことも踏まえて、2月に10地区で組合員協議会を開催する予定であり、次期事業計画骨子等をご協議いただきますが、当組合の基幹事業であります登録事業・市場斡旋事業を中心に役職員一丸となりまして事業推進して参る所存ですので、よろしくお願い申し上げます。
 平成21年が皆様にとって素晴らしい年となることとご家族のご健勝とご繁栄をご祈念申し上げ新年の挨拶といたします。
北海道ホルスタイン家畜市場・ホクレン南北海道家畜市場完成予想図



平成20年度地区組合員協議会開催のお知らせ
   
2月2日(月)から2月14日(土)まで10地区で
    
 今年度の地区組合員協議会の開催日程が決まりました。会議は、本年度の組合事業の進捗状況をご説明する一方で、組合員の皆様の組合運営や実施事業に対するご意見ご要望を拝聴し、それらを今後の事業に反映していくために欠かすことのできない重要な会議であります。
 組合の基幹事業である乳牛の登録は、餌・生産資材・燃料等の高騰など経済状況の悪化の中にあって、牛乳の増産体制への転換、F1生産の減少などのため、また皆様および関係団体のご協力により昨年を上回る血統登録が行なわれております。今後も引き続き、組合に蓄積されたホルスタインの血統情報等資源を有効に利用し、近交回避情報や、遺伝力改良のための交配相談を更に進め、また、昨年ご説明した登録ホルスタイン雌牛から生まれる雄子牛やF1に対する、「出生確認システム」の推進など、さらなる利用者の利益となるような事業の展開を始めているところです。また、体型審査、牛群検定業務なども従来どおり、確実に進め、事業展開を図っていくところであります。
 2010年に安平町早来の北海道ホルスタイン共進会場で第13回全日本ホルスタイン共進会の開催が決定しておりますが、これに伴う施設整備については、昨年ご説明し、様々なご意見とともにご理解を得たことから、ホクレンとの市場共有施設の建設が決定し既に一部工事が始まっております。これからは市場運営についてはもとより、全共開催に伴い、さらに皆様のご意見を拝聴しなければならないことはたくさんあります。
 時節柄ご多用のことと存じますが、地元開催の地区組合員協議会に是非ご出席いただき、貴重なご意見・ご要望をお聞かせください。
 なお、各地区の協議会では組合員の方々、あるいは役・職員との懇談を通して親睦を深めていただくことも目的のひとつであり、会議終了後には懇親会を開催いたしますのでご出席くださいますようあわせてご案内申し上げます。


【主な議題】
1. 平成20年度事業実施状況並びに収支報告について
2. 平成21年度事業計画骨子(案)について
3. 2009北海道ホルスタインナショナルショウについて
4. 次期役員改選に伴う地区役員選任推薦委員の報告について
    
平成20年度 地 区 組 合 員 協 議 会 日 程
地  区 月 日 地元協議会 組合員協議会 場       所
宗  谷 平成21年 11:30 14:30 ホテル 大将 稚 内 市
2月2日(月)
上  川 3日(火) 14:00 15:00 旭川ターミナルホテル 旭 川 市
北  見 4日(水) 14:00 15:00 温根湯温泉 大江本家 北 見 市
根  室 5日(木) 11:30 13:00 ウエディングプラザ 寿宴 中標津町
釧  路 6日(金) 13:00 14:30 釧路プリンスホテル 釧 路 市
十  勝 7日(土) 11:00 13:30 ホテル日航 ノースランド帯広 帯 広 市
       
石  狩 9日(月) 11:00 13:30 札幌全日空ホテル 札 幌 市
後志・道南 12日(木) 11:00 13:30 遊楽亭 八 雲 町
胆振・日高 13日(金) 11:00 13:30 グランドホテル ニュー王子 苫小牧市
空知・留萌 14日(土) 11:00 14:00 ホテル サンプラザ 岩見沢市



 今回で37回目となりましたカナダ・ホルスタイン酪農視察研修はデーリィマン社との共催により2008年11月11日から17日まで5泊7日の日程で実施し、カナダの4牧場とロイヤルウインターフェアを視察してまいりましたので概要を報告いたします。

 2008年11月11日、道内参加者は新千歳空港に集合して結団式を行い、当組合の佐藤専務とデーリィマン社の西本取締役から激励の言葉をいただき、中嶋理事(当組合)を視察団長に選任して、東京へ出発。成田空港で道外参加者とも合流し、カナダへと出発しました。今回の視察研修の参加者は道内23名、道外4名、添乗員1名の総勢28名(内女性2名)で、大半が20代という大変若い視察団となりました。

  [牧場視察]
 ● サミットホルム牧場
 飼養頭数:700頭、搾乳牛:330頭、土地面積:700acres(283ha)、職員数:5名(別にパート6名)、牛群の平均能力は乳量(3回搾乳):12,800㎏(初産:11,000㎏)、乳脂率:3.86%、乳タンパク率:3.25%、体型得点はEX:2頭、VG:80頭、牛群の80%がGP。供用種雄牛はカーニバル、アシュラン、バックアイを主に使用している。現在飼養中の牛で生涯乳量:100,000㎏以上が15頭いる。収入の90%は乳代、残りの10%は個体販売である。餌の75%は自家生産で、その作業については全て外注しており、農業機械の購入・維持費や労働時間などを考えると効率が良いとの事でした。
 ● フラドン牧場
 搾乳頭数:65頭、土地面積:320acres(129ha)、職員数:3名。牛群の平均能力は乳量:10,000㎏、乳脂率4.2%、乳タンパク率:3.8%、体型得点はEX:31頭、VG:40頭、GP:15頭。収入の50%が乳代、50%が受精卵や個体販売である。今回視察した4牧場とも兄弟で経営しており、この牧場は兄が畑作業、弟は牛群管理・搾乳と作業分担し経営を行っていた。
 ● ボスデール牧場
 飼養頭数:300頭、搾乳牛:150頭、土地面積:1,000acres(405ha)、職員:7名(その内パート3名)。牛群の平均能力は乳量(2回搾乳):10,500㎏、乳脂率:4.2%、乳タンパク率:3.3%、体型得点はEX:52頭、VG:102頭、GP:30頭。供用種雄牛は体型重視で、特に決まった種雄牛はいない。
 牛の他にも豚を飼養しており収入の50%が豚で、乳代が40%、個体販売が10%である。この牧場は最新のパイプラインを導入しているとの事で、手動のレール式ミルカー:16台、1列40頭が4列とかなり大きなパイプライン牛舎になっていた。
 ● デユパスケア牧場
 搾乳頭数:80頭、職員数:4名。牛群の平均能力は乳量:11,500㎏、乳脂率:3.8%、乳タンパク率:3.4%、体型得点はEX:36頭、VG:50頭、GPはいない。2000年からロイヤルウインターフェアには出品していなかったが、今年は出品しているとの事だった。酪農の他にもブロイラー(75,000羽)や人工授精事業(ファンデーションサイア)を行っている。

  [ロイヤルウインターフェア1日目]
 例年ならば、乳用牛のショウは、メインリングであるRICOHコロシアムで行われるのですが、近年、ロイヤルウインターフェアの中心になっているホースショウが行われたことから、今年の未経産クラスはもう1つのリング、Ring of Excellenceで行われた。
 ショウは午前9時からRed & White Showが開始され、14時からBlack & White Showが開始された。なお、同リングではセールオブスターも開催されることから、会場設営のためクラス1・2の審査のみ行われた。審査はMark Rueth氏とアソシエート審査員のRobert Yeoman氏が担当した。
  
[セールオブスター]
 18時頃からRing of Excellenceで開始され、最初にジャージー種などのセールが行われ、その後ホルスタイン種が行われた。グランドボーイ数名がリングに上がり、購買意欲を高めるために派手なパフォーマンスを繰り広げていた。
 ホルスタイン種は56頭が出品され、ほとんどの出品牛が$10,000~$30,000の価格で落札されていた。最高価格は$85,000(6,800,000円)、平均落札価格は$27,734(2,218,720円)でした。
(為替レート:1カナダドル=80円で算出)
  

  

[ロイヤルウインターフェア2日目]
 前日の未経産クラスの残りと経産クラスは、会場をメインリングであるRICOHコロシアムに移して7時30分から審査が開始され、滞りなく行われた。RICOHコロシアムはリングと観客席にかなりの高低差があり、リングの縁の壁に出品牛が隠れてしまい見づらい部分も多少ありましたが、出品牛のレベルの高さ、高齢の方もリードマンをされているなど大変すばらしいショウでした。

 各受賞牛は以下の通りでした。

○グランドチャンピオン(シニアチャンピオン)
  Thrulane James Rose
     (父:Shoremar James)

○リザーブグランドチャンピオン(リザーブシニアチャンピオオン)
  Quality-Ridge Stormi Hazel
     (父:Comestar Stormatic)

○インターミディエイトチャンピオン
  Brookvilla Jasper Aka
     (父:Wilcoxview Jasper)

○リザーブインターミディエイトチャンピオン
  Valleyville Lheros Jenn
     (父:Comestar Lheros)

○ジュニアチャンピオン
  Lacoulee Justine Goldwyn
     (父:Braedale Goldwyn)

○リザーブジュニアチャンピオン
  Lesbertrand Dundee Lalime
     (父:Regancrest Dundee)

○プレミアブリーダー
  Ferme Jacobs Inc

○プレミアエキジビター
  Pierre Boulet.
プレミアエキジビターのPierre Bouiet氏に北海道ホルスタイン協会賞の盾を河野・中嶋両理事から贈呈
  

[おわりに]
 今回の牧場視察では、能力重視や体型重視の牧場を視察させてもらいました。また、どの牧場も牛群平均乳量が10,000㎏を超えていながら、高得点牛を多数飼養する管理能力の高さに驚かされました。
 ロイヤルウインターフェアは、どの出品牛も肢蹄・骨格・乳房など素晴らしい牛ばかりでした。その中でもアメリカのエキスポでグランドチャンピオンとなったThrulane James Roseが、カナダでもグランドチャンピオンになった事は大変印象に残りました。
 今後はカナダの牧場やロイヤルウインターフェアで学んだ事を様々な場面に生かしていきたいと思います。
 最後に、参加者および関係者の皆さんの多大なご協力により、事故や大きなトラブル等がなく、無事に視察旅行を終えられたことを心から感謝申し上げます。


 
   
『家畜市場施設新築工事』着工!!
  
地鎮祭:平成20年12月1日(月)
  
安平町:北海道ホルスタイン家畜市場・ホクレン南北海道家畜市場
  
 かねてより計画を進めてきた、当組合家畜市場・ホクレン南北海道家畜市場新築工事の着工を迎え、去る平成20年12月1日(月)、安平町早来の建築現場(現家畜市場敷地)において地鎮祭が行われました。
 友引であった当日は、この慶事を祝福するような、雲ひとつない透明感ある青空と穏やかな天候に恵まれた中、当組合から北 良治代表理事組合長、橋本善吉経済企画委員長、佐藤 泉専務、斎藤眞澄参事ほか関係職員、ホクレンから枳穀勝久代表理事副会長、高嶋敏美代表理事常務ほか関係職員、施設設計の㈱北農設計センター、施工業者の㈱大林組などが出席し、工事の安全を祈願しました。
 地鎮祭を終えた後は、既存建物の解体・整地や本格工事に向けた準備工事が行われ、雪解けを迎える3月、10棟からなる建物の新築工事を開始し、秋が深まる10月には全道最大規模の家畜市場施設が完成する運びとなっています。(敷地内建物の延べ床面積は2万1368平方㍍となります)
 また、審査場の施設の一部改築も計画しており、これらの工事が完了すると日本一のホルスタイン共進会場施設が完成することにもなります。これにより、来年開催を予定している第13回全日本ホルスタイン共進会北海道大会に向けた会場整備が大きく前進することとなり、その開催への期待が益々高まるところです。

鍬入れ『穿初(うがちぞめ)』を行う 左:北組合長、右:枳穀ホクレン副会長
   



第12回世界ホルスタイン・フリージアン会議
  
(2008年10月9日~11日:アイルランド共和国・キラーニー)
  
 先月号に引き続き、第12回世界ホルスタイン・フリージアン会議の概要を報告します。第二回目の今回は、会議のセッション2から4で行われた調査研究発表の内容を紹介いたします。

 各セッションでは、それぞれのテーマにもとづく3つの調査研究発表が行われました。各発表のタイトルと発表者は以下の通りです。
  
セッション2:適切な管理のための質の良いデータ
新しいハードブックにおけるデータベースの構築と利用の方法
Leoncio Diz 博士(Holstein Association, Argentina, アルゼンチン)
収益性の高いホルスタイン・フリージアンの育種改良のためのデータ
Brian Wickham 博士(ICBF, アイルランド)
酪農経営手法と世界的なホルスタインの育種改良との間の統合されたITソリューション
Stefan Rensing 博士(VIT, ドイツ)
セッション3:遺伝的改良のための新しいツール
自動発情発見
Edmond Harty 博士(Dairymaster, アイルランド)
雌雄判別ないし非雌雄判別、その問題とは?
Paul Baison 氏(Cogent UK, イギリス)
乳用牛改良計画におけるゲノム情報の応用
Richard Spellman 氏(LIC, ニュージーランド)
セッション4:ブリーダーと科学者の合同会議
科学とショウリングの接点
Doreen Corridan 博士(MVB MRCVS, アイルランド)
遺伝的に改良されたホルスタイン種の能力と潜在的利益を一致させるための栄養学的解決策
Prof David Beever 氏(Rd Keenan, イギリス)
白い金、液体の金、それは牛だよ!
Peter O’Connor 氏(Baileys, アイルランド)
    
【Session2:適切な管理のための質の良いデータ】

 セッション2の最初は、アルゼンチンにおける血統登録や検定データ集積での取組みと遺伝評価に関する発表でした。

 アルゼンチンの乳牛頭数は、現在、約200万頭であり、そのうち約53万頭の雌牛が公式な検定記録をもっています。国内の主要な牛乳生産地域は、南北1,300キロ、東西800キロと非常に広範囲におよぶため、国内には94の検定センターとデータ集積の拠点となる4つの地方センターがあります。毎月の記録は、地方センター経由で*1ACHAのデータベースへ転送され、遺伝評価されています。
      
地   域 農家戸数(戸) 検定記録をもつ雌牛(頭)
ブエノスアイレス 1,037 290,000
サンタフェ 684 137,000
コルドバ 316 84,000
エンタリオス 67 15,000
サルタ 3 500
フォルモサ 3 200
合    計 2,110 526,700
表.地域別の酪農家戸数と公式検定記録をもつ雌牛頭数(2008)
    
 アルゼンチンでは、ホルスタイン種の血統登録は自由ですが、血統が明確な個体は、不明確なものと区別して管理されています。ACHAは公式な乳検システムを通した血統登録を提供しており、年間約23万頭の雌牛が登録されています。なお、登録に必要な授精および出生のデータは、検定記録と同様に4つの地方センター経由でACHAに集められています。
   
図.ACHAにおける一年ごとの登録頭数
    
 最近は育種改良における生産寿命への注目度の高まりから、この遺伝評価に必要な、繁殖性、健康、ボディ・コンディション・スコアおよび体型審査の記録といったデータを集積出来るよう、システムを刷新しました。また、各種データが農家から直接報告されるようになりつつあり、これによってデータ数の増加や遺伝評価成績の公表までの期間短縮など、さまざまな効果が現れているとの報告がなされました。
   
 次の発表は、アイルランドにおける育種改良に必要なデータの集積とその利用について、アイルランドの代表的な改良組織である*2ICBFの、ブライアン・ウィクハム博士によるものでした。
  
 ICBFの主な事業の一つに、共有データベースの構築があります。このデータベースは2000年から運用が開始され、それまで各団体が独自に行ってきたデータ集積を一元化し、人工授精、登録、乳検および異動などの各種データがICBFで一括管理されるようになりました。
図.ICBFの共有データベースを中心としたデータの流れ
    

    
また、授精データ報告用のハンディ・システムや自動検定システムなどが順次開発されており、より正確かつ迅速なデータ収集が実現され、管理されるデータ数も飛躍的に増加しているようです。以下に、データベースへ登録された授精記録および検定記録の件数について、2001年と2008年とで比較したグラフを示しました。
図.データベースへ登録された授精記録の割合
    
図.データベースへ登録された検定成績の割合
   
 全体的な割合は高くはないものの、データ数の増加は顕著なものとなっています。
 2000年から導入されているアイルランドの総合指数*3EBIは、毎年見直しが行われており、幾度かの変更を経て現在に至っています。以下のグラフに、2000年から2008年までの構成形質とその割合の変化を示します。
   
図.EBIの構成形質とその割合
 グラフからも分かるとおり、現在のEBIは産乳能力、繁殖性、分娩、産肉性および健康に係わる形質で構成されています。
 このように、データ集積方法の確立と総合指数の改良によって、アイルランドでは多くの形質で遺伝的改良が急速に進んでいます。その一例として、ホルスタイン・フリージアンの種雄牛について誕生年別のEBIの平均値を、以下のグラフに示しました。新しい技術が確立された2000年以降、平均値が急激に上昇していることが分かります。
   
図.誕生年別、種雄牛のEBIの平均値
    
 なお、ICBFで管理されている情報は、インターネット経由でAI事業体、乳検組織、登録団体および畜産農家など、幅広く利用されているとのことです。

 最後はドイツにおけるデータ集積とその利用に関する発表でした。

 1965年に遺伝評価機関として設立された*4VITは、40年以上にわたって酪農家や改良団体に改良情報を提供してきました。そして現在では、14地域のホルスタイン協会の登録データと7地域の検定協会の検定データを保持し、ドイツにおける全検定成績の75%を保有しています。 
   
図.VITを中心としたデータの流れ
   
 また、VITでは、これらのデータを活用して遺伝評価を行っており、今日では隣国のルクセンブルクやオーストリアも加わり、それらの国の遺伝評価値も利用可能となっています。
 VITが提供するシステムとデータを利用する酪農家や改良団体のメリットと、データ管理における注意点は以下のとおりです。
<酪農家や改良団体のメリット>
・プログラムの更新が不要
・常に最新のデータが提供される
・データのアップロードおよびダウンロードが不要
・データの蓄積、バックアップが不要
・新規データのチェックが容易
・オンラインでのデータ共有が可能
・モバイルによる利用が可能

<データ管理における注意点>
・すべてのデータを即利用可能にすること
・データの質を向上させること
  
 このような点を踏まえ、統合されたITソリューションを活用することで、酪農家や関係団体の利益につながっています。さらに、これまで検定、登録および授精データといった情報は、各組織から提供されてきましたが、技術面の成長もあり、将来的には農家から直接提供されることに期待しているそうです。
*1…Association Criadores de Holando Argentina
    (Holstein Association, Argentina)
     アルゼンチン・ホルスタイン協会
*2…Irish Cattle Breeding Federation
     アイルランド種牛改良連盟
*3…Economic Breeding Index
     アイルランドの総合指数
*4…Vereinigte Informationssysteme Tierhaltung w.Verden
     ドイツの遺伝評価機関
    
  
【Session3:遺伝的改良のための新たなツール】


 最初は、アイルランドのDairymaster社で開発された、最新のナノテクノロジーを利用した自動発情発見装置に関する発表でした。
  発情発見は大変重要であり、日本でも万歩計などが導入されておりますが、この装置は首に装着したセンサーで、発情行動を24時間監視するものです。センサーが検知する情報は、定期的に受信装置にダウンロードされ、パソコンまたは携帯電話から確認することができます。検知した情報からシステムが発情牛と認識したときは、自動的に個体情報を知らせるほか、ミルキング・パーラーへの音声メッセージの送信や、携帯電話へのメール送信が可能となっています。

 次の発表は、イギリスにおける雌雄判別精液の現況に関するものでした。
   
 イギリスにおける雌雄判別精液の歴史は、1992年にケンブリッジ大学で雌雄判別精液からの子牛が誕生したのが始まりです。それ以降、さまざまな研究が重ねられ、今日の状況に至っています。Cognet社では、この新技術に対して1997年に初めての投資を行い、翌98年には、人工授精による雌雄判別精液由来の子牛が誕生しました。また、国内での利用のみでなく、海外への輸出も行っており、2007年には世界30ヵ国へ輸出しています。
 次に、雌雄判別精液と一般的な精液との相違点です。相違点としては、1ストローあたりの精子数、生産に費やす時間および凍結方法があります。1ストローあたりの精子数は通常600万から3,000万ですが、雌雄判別精液では、死んだものや奇形の精子を除去すると230万程度になります。また、その生産には時間がかかり、凍結処理までの時間は通常より7時間も長くなります。しかしながら、一般精液に比べても、生存期間にさほど大きな差はありません。
 雌雄判別精液に対する酪農家の考え方は、様々なようです。費用対効果の面や受胎率の低さから、雌雄判別精液を使用しない酪農家も多いようですが、発表者は次のような利点を強調しました。
・容易な分娩
  …人的介助の減少=コスト削減
  …生産性低下を軽減=収益向上
  …将来的な繁殖性の問題を軽減
・遺伝的改良量の増加
・優良雌牛からの娘牛確保=遺伝的に優れた血統の保持
・閉鎖牛群=更新用の雌牛を十分に確保できる

 収益的な観点から、人工授精に際しては授精適期の判断が重要です。よって、正確な発情発見が受胎率向上の鍵となることを強調しました。また、雌雄判別精液は未経産牛に用いるのが最も有益です。これは、交雑種生産のための肉用種の精液で有効利用できることも意味します。
 結果として、不要なホルスタイン雄子牛を減らすことができ、収益向上につながるとの考えを示しました。
   
 セッション3の最後は、ニュージーランド(NZ)における乳用牛のゲノム選抜について、*5LICのリチャード・スペルマン氏による発表でした。
   
 ゲノム(DNA情報)選抜、すなわち育種改良への分子遺伝学の応用は、世界中で注目されており、遺伝評価の精度向上や世代間隔の短縮などが期待されています。また、早い国(アメリカやカナダなど)では2009年から開始されるようです。
 ニュージーランドでは、1990年頃からゲノム選抜に関する研究が進められてきましたが、現在まで目立った効果を得られていませんでした。しかしながら、2006年に牛ゲノムの解析が終了したことで100万以上の*6SNP’sが明らかになりました。また、技術革新により1遺伝子型の解析に係るコストが2年前の2.5NZドルから現在の1NZセントまで低下しました。これにより、LICでは過去30年の後代検定済み種雄牛約4,500頭の遺伝子型解析を行い、得られた結果からSNP’sの効果を含めた遺伝評価を実施した。その具体例として、ホルスタイン種雄牛のSNP’sを考慮した育種価と従来の後代検定で得られた育種価の相関を示しました。
形質 相関
乳蛋白質量 0.57
乳脂量 0.47
乳量 0.60
生時体重 0.51
受胎率 0.59
体細胞スコア 0.54
長命性 0.60
気質 0.47
乳器 0.45
体型 0.51
表.SNP’sを考慮した育種価と従来の育種価の相関
 従来の育種価推定に利用される、両親の情報、本牛の能力および子孫の能力に加え、DNA情報は4番目の要素として認識されています。2008年に推定されたゲノム情報を利用した育種価の信頼度は、50から55%程度であり、従来の後代検定での75から85%に比べるとまだ低くなっています。
 しかしながら、育種改良計画の変化として、2008年にはDNA分析結果から選抜された、115頭の若雄牛が後代検定にかけられています(これらの雄牛は1歳で後代検定へ参加し、2歳の時点で一般供用が可能となる)。また、さらに詳細なマーカーマップにより高度な統計手法が開発されることで、ゲノム情報を用いた選抜精度はさらに向上すると推察しました。そして、さらなる改良促進に期待しているとのことでした。

*5…Livestock Improvement NZ Corporation
*6…Single nucleotide polymorphisms
   一塩基多型
*一塩基多型とは?
 生物の遺伝を決定するのは遺伝子の塩基配列である。塩基の配列は個体によって微妙に異なっており、この配列の違いによって遺伝的な個体差が生じる。この塩基の配列の違いを一塩基多型とよぶ。

    

【Session4:ブリーダーと科学者の合同会議】
 最初は、「科学とショウリングの接点」と題し、アイルランドのドレーン・コリダン博士による発表でした。

 今日の乳牛改良において、科学は不可欠なものです。一方、共進会は消費者への酪農業界のPRの場であることや、若手酪農家の技術的交流と教育の場として重要な役割を果たしています。要するに、それぞれが担う役割を理解しあうことが重要なのです。したがって、互いに尊重しあい、持ちつ持たれつの関係を維持することで、酪農業界のさらなる発展に寄与できるとの見方を示しました。

 次は、高能力なホルスタイン種の栄養管理に関する発表でした。

 現在のホルスタイン種は生産性に優れていますが、その一方で、乳成分の低下、蹄病と乳房炎の増加、受胎率の低下および健康問題の増加や生産寿命の低下など多くの問題も抱えています。これらの問題は収益の悪化をもたらすため、その対策として、乳生産により適した乳牛の繁殖、多品種間交配などが挙げられています。ところが、高い生産能力を有しているにも係わらず、これらの問題が非常に少なく、適切に管理された個体も多く存在しているのです。
 これらの問題を見直すと、乳用牛の遺伝的な問題よりも、管理面に問題があるとの見方が生じました。実際に調査したところ、多くの牛群で初産分娩月齢が早すぎることや、泌乳ステージに合わせた栄養管理が出来ていないことがわかりました。不適切な飼料設計による第一胃機能の低下は、生産性と乳性分に悪影響を及ぼします。これらの点を踏まえて、酪農家が見落としがちである乾乳期の栄養管理が最重要であり、育成または乾乳牛への十分な栄養補給が、生産性および繁殖性の双方を好転させるとの考えを示しました。

 最後は、ベイリーズ社のピーター・オ・コーナー氏による発表でした。

 ベイリーズ社といえば、アイルランドの有名なリキュール「ベイリーズ」を生産する酒造メーカーです。ベイリーズ、ご存知の方も多いのではないでしょうか?ウイスキーとクリームから作られるたいへん甘いお酒です。
 このお酒に欠かせないのがクリーム。すなわち、良質な牛乳が最も重要であることを強調していました。また、酪農業界との関係も深く、メインスポンサーとして、アイルランドの四大共進会のひとつ「ベイリーズ・チャンピオン・カウ」を毎年開催しています。
     
    

 以上、世界会議に関する第二回目の報告を終了します。次回2月号では、会議よりセッション5および6の概要を報告します。また、今回報告したセッション3の③にも関連する、最近、世界中で注目されている「ジェノミクス」所謂ゲノム情報を用いた選抜に関する特集記事を掲載する予定です。
(総務部 柾谷、電算部 岡﨑)




~発展~ 第4回全日本ホルスタイン共進会
 新年 明けましておめでとうございます。このシリーズでは、温故知新の題をいただき、第1回からの全共の歴史を紹介しております。
 『温故知新』:昔の事を調べ、そこから新しい知識や見解を得る(古きを訪ねて新しきを知る)。

 これからも、この言葉の意味に通じる記事作りを心がけて行きたいと思いますので、宜しくお願いいたします。

 さて、シリーズ8の今月号は、先月に引き続き第4回全日本ホルスタイン共進会の概要と上位入賞牛を紹介いたします。
  
 第4回全共は1966年(昭和41年)3月18日~22日の5日間、福島県福島市で開催されています。全国42都道府県から278頭の出品があり、名誉総裁として秩父宮妃殿下を仰ぎ、常睦宮ご夫妻をお迎えし、参観者数延べ25万人を集め盛大に開催されました。なお、北海道からの出品は17戸42頭(前回16戸25頭)でした。 

 この全共の報告に、父系統群・母系統群のクラスについて以下の興味深い説明があります。

    
  
第4回全共  出品頭数    278頭
ホルスタイン種 雄   牛 第1部 22頭   12月~29月
未経産牛 第2部 56頭   12月~17月
第3部 38頭   18月~23月  
第4部 32頭   24月~29月  
経 産 牛 第5部 17頭   2産以内
  ~47月
第6部 38頭   高等登録牛
  3産以上
ホルスタイン種系 未経産牛 第7部 8頭   12月~29月
経 産 牛 第8部 12頭   
父系統群 第9部 14組   4頭 1組  
母系統群 第10部 9組   母・娘2頭
乳器特別審査の部         第5・6・8部 出品牛  29頭
高等登録牛:審査得点・検定能力が基準を満たし登録証明されたもの
    
 種牛としての真の価値を推定するため、体型、資質、能力等の遺伝的検討をする上に極めて重要な役目をする第9部・第10部の出品が、前回に比べ格段の増加を見たことは、共進会が今後改良上に果たす効果は、更に著しくなるものと推定され、誠にご同慶に・・   
  
 この時代は、後代検定といった統計分析による個体の評価などは行われていませんので、改良の成果を具体的に見る(判断する)機会として、共進会が重要な役割を果たしていることが窺えます。
 また、『生産費を低減するためには、強健で連産性高く優れた泌乳能力を持つことが有力な要素である』との記述もあり、改良に対する基本的な考え方は不変なのだと改めて感じました。
 今回の全共の審査講評では〈大きい〉〈長い〉〈標準以上〉〈~を超える〉〈充分な~〉など、出品牛の大型化に関する説明が随所にあります。第1回全共から15年が経過し、改良が進み、飼養管理技術の向上とともに農業近代化政策が図られている最中での全共であり、それらの効果が具体的に現われて来た結果なのだろうと想像しましたが、「どの程度の大型化なのだろう?」、そして、第1回から前回の第12回全共までに、半世紀54年の歳月が経過している現在、「その差は果たしてどれだけあるのだろうか?」などの疑問がわき、次のような整理をしてみました。
 全共出品牛の測尺値を用い、簡単な集計を行いました。下表は、第1回から第12回までの全共出品経産牛の【体高】と【胸囲】について[2才]・[3才]・[4才以上]に分けて平均値を求めました。
   

全共開催毎経産牛の年齢区分別『体高』・『胸囲』(平均値)の推移
   第1回 第2回 第4回 第8回 第12回
1951年 1956年 1966年 1985年 2005年
体高  2  才 135.4 140.6 138.5 146.3 151.1
3  才 138.8 139.0 140.8 147.7 153.7
4才以上 138.3 141.4 143.3 148.8 153.0
胸囲 2  才 190.1 199.7 193.3 197.1 199.9
3  才 192.3 198.9 199.9 202.7 205.8
4才以上 197.7 201.0 205.4 207.2 215.0
単位:㎝
 

 次のグラフでは、[2才]・[3才]・[4才以上]の【体高】と【胸囲】の平均値の推移を表しています。グラフ上にある開催毎の値は、黒が[4才以上]、赤が[2才]の平均値を示しています。

 【体高】は、第1回の1951年を見ると、[2才]で135.4㎝、[3才]で138.8㎝、[4才以上]では138.3㎝でしたが、15年が経過した第4回の1966年には、138.5㎝、140.8㎝、143.3㎝となり、その差は、3.1㎝、2㎝、5㎝でした。さらに、39年が経過した第12回の2005年には、151.1㎝、153.7㎝、153.0㎝になり、それぞれの差は15.7㎝、14.9㎝、14.7㎝です。なお、第1回の値を100とした場合の第12回のそれぞれの比率は111.6、110.7、110.7となっています。

 【胸囲】は、全共開催毎にその値は大きくなっていますが、体高ほどにはっきりとした右肩上がりではないようです。体高と同様に第1回の時の値を100とした場合の第12回のそれぞれの比率は105.1、107.0、108.8となっています。
 図とグラフから、第4回全共の出品牛は、審査講評の通り各段に大型化していることが解ります。想像していた、改良の進展と飼養管理技術の向上、近代化政策の効果が明確に表れているようです。そして、体高については第1回から第12回までの54年の間に14㎝~15㎝高くなり、その比率は110%を超えていることには改めて驚きました。この大型化の流れは果たしていつまで続くのでしょうか? そろそろ止まるのでしょうか? 現在は、種の改良とともに〔飼料(栄養・コスト)と泌乳との折合い〕や〔飼養環境の変化と適合〕を、常に考えて行かなければ酪農経営が成り立たない時代を迎えており、その影響がこれからどのような変化をもたらすのか筆者には解りませんが、報告にあった「強健で連産性高く優れた泌乳能力を~」が基本となり、時代に合ったDairyな牛たちが求められ続けて行くのでしょう。

 それでは、上位入賞牛を、短評とともに紹介いたします。
-----〈第1部ホルスタイン種雄牛〉-----
【名誉賞】
 体型、体格良好で、とくに品位に富み、乳用牛の特徴優れ、肩後よく充実し、頸からき甲への移行も滑らかで、尻、腿の状態もよく、深みのあるやわらか味豊かな優秀種雄牛である。四肢にやや弱さがみられる。
2 ウオ-カ- オ-ムスビ- バ-ク 1才9月
北海道札幌市厚別町:宇都宮 潤
父:カードア ウオーカー(前回の名誉賞牛)親子連続名誉賞
     
【優等賞1席】
 体格やや前者に劣るが、月令発育としては極めて良好で、各部のバランス良く整い、四肢強健で、体積充分な優秀牛である。幾分肉が付き過ぎたため肩がやや厚く、肩後並びに肘節部の充実を欠く。
デ コ-ル フラシ- アイデアル 1才9月
北海道勇払郡早来町:竹田 剛
  
-----〈第2部ホルスタイン種未経産牛〉-----
生後12ヵ月以上18ヵ月未満
【名誉賞】
 発育が良好で、品位、資質ともに極めて優れており、充分な体積を保有し背線が強直であって、各部のつりあいが極めて良好である。乳房の質、形状、附着共に良好であります。前肢の踏み方がやや狭く外向である。
スカイラ-ク エルシ- ジユリエツト 1才3月
北海道勇払郡早来町:山田一英
  
【優等賞1席】
 発育は極めて良好、品位資質良く体積に富み、背線も強直で各部のつりあいも良好。胸幅やや不足し、かんの位置が若干低い。
カ-ネ-シヨン ウイニ- オ-ムス チルダ 1才3月
北海道上川郡清水町:西倉栄吉
  
【優等賞2席】
 発育は極めて良好、伸び伸びとした優美な姿をしており各部のつりあいも良好。体積において上位2頭に劣り、乳頭の間隔がやや狭く配置されている。
スプリング マジツク ウエイン 1才3月
北海道勇払郡早来町:竹田幸夫
   
-----〈第3部ホルスタイン種未経産牛〉-----
生後18ヵ月以上24ヵ月未満
【優等賞1席】
 品位資質ともに優れ、各部の均称良く後躯が充実している。とくに乳房の質がよく、乳頭配列も良い。体積がやや不足であり力強さに欠ける。
2 マ-ガレツト レイブン ベルモント 1才11月
北海道勇払郡早来町:山田一英
   
【優等賞2席】
 発育が良く、体長、胸深の測定値もよく、特に後駆が良い。前者に比べ資質の点がやや劣り、また乳頭が小さい。
インカ マスタ- クリステイ 1才7月
北海道札幌市東月寒:木村利彦
   
【優等賞3席】
 胸囲、胸深ともによく体積豊であるが、品位、皮膚被毛は前者2頭に劣る。乳房の付着、質はいずれも良い。乳器の先端にやや難点がある。
ダビドソン パレード バーク チエリー 1才11月
岩手県:菊池 茂
  
-----〈第4部ホルスタイン種未経産牛〉-----
生後24ヵ月以上30ヵ月未満
【優等賞1席】
 体積、品位に富み、とくに資質の点が優秀である。
バルト リワード マーセーヅ 2才3月
千葉県:花沢 峯
     
【優等賞2席】
 品位に富み、頭頸部より背線に至るまで移行が良く前者に勝るが、胸幅が広く肋張りが不足し体積に乏しく肢蹄特に後肢は直飛の傾向が多分に認められ骨量も不足している。
グレナフトン ジヨハナ セナタ- 2才0月
北海道札幌市白石町:長浜 久
【優等賞3席】
 よく発育し大柄で体積に富んでいるが、前2頭に比較し、背線から腰がやや弱く、後駆も若干充実を欠き、乳用牛の特質も劣っている。胸の張りが不足している。
ミドリ ポ-テ-ジ エ- ビ- シ- 2才2月
北海道河西郡芽室町:黒田幸太郎
   
-----〈第5部ホルスタイン種経産牛〉-----
2産以内・生後48ヵ月未満
【優等賞1席】
 本牛は体高138㎝、体長175㎝で、標準の大きさを有し、均称良く品位に富み、鋭角性を示し、乳房は素晴らしい容積形状を有し、乳房の質も良好である。肩後の移行がやや悪く、乳頭の大きさが若干不揃いであり乳区の切れ込みが僅かに深い。
フラシ- ア-ルチエ メ- マドキヤツプ 3才10月
北海道江別市対雁:町村敬貴
  
乳器審査優良賞
【優等賞2席】
体高147㎝、体長181㎝という大型の牛であり、体長が充分あり伸び伸びとしており、優れた乳用牛の特質を備えており、乳房の質は前者に勝っているが、乳頭の方向、乳房の容積形状において多少劣る。この点以外では、優劣は前者と接している。
ホワイト バ-チ バタ- ガ-ル プライド 3才6月
北海道札幌市東月寒:黒沢 勉
   
-----〈第6部ホルスタイン種経産牛〉-----
3産以上・高等登録牛
【名誉賞】品位、資質ともにすぐれ、体積に富み、肋張りがよく、胸が深く、腹の容積大きく、肋腹の断面は乳牛の理想的な形で力強い中駆をしている。また乳房は質が良く、付着の幅が広い。前乳房の張り出しがやや足りない。
ロベス アイデアル コ-ンフラワ- 5才7月
北海道江別市対雁:町村敬貴
乳器審査優良賞
   
【優等賞1席】
 品位に富み、資質優良で、各部の均称がよく「乳牛らしさ」の点で極めて優れた牛である。乳房は乾乳中ではあるが、質が極めてよく附着が広く、張った時の形の良さを充分に知ることができる。優美な牛であるが、力強さの点でやや前者に劣る。
カ-ドア レイブン モデスト 5才10月
北海道札幌市厚別町:宇都宮 潤
   
【優等賞2席】
 中駆の幅、深さが充分あり、乳房の形状は資質がよく附着が広いが、中駆の伸びが足りず、腰角が粗大であり、頭部がやや重く、品、資質の点でやや欠ける。
ルンド アールチエ チルダ 5才2月
福島県:寺島敬文
  
-----〈第7部ホルスタイン種系未経産牛〉-----
生後12ヵ月以上30ヵ月未満
【優等賞】
 発育極めて良好で体積に富み、深みも充分で皮膚被毛の状態良く、背も強直で乳牛らしさも充分表現されている。乳房の質、形状も良好と認めるが、乳頭の配置がやや近めであり、若干長いことが好ましくない。
ダイアモンド スカイラーク ロメオ ウオーカー 2才2月
宮崎県:大窪佐利
  
-----〈第8部ホルスタイン種系経産牛〉-----
【名誉賞】
 品位に富み、体積が充分あり、各部位のつり合いが良く、乳用牛の特質を充分現わしている。四肢背線に若干の難点がある。
シブヤ ロメオ ローモント カスガ 9才1月
石川県:青井治範
   
-----〈第9部父系統群〉-----
母を異にする同一父牛の娘牛4頭
 14組の出品があり、父牛を繁殖者別にみると、農林省新冠種畜牧場2頭、宇都宮牧場2頭、米国 カーネーション牧場6頭、レークサイド牧場1頭、カナダ グレナフトン牧場1頭で、輸入種雄牛が8頭で全体の半数を占めています。
  
【経産の部名誉賞】
 いずれも品位資質に富み、体各部の均称良く、体積に富み、乳房の附着は広く容積に富み、力強さを示しているが、乳頭の方向、尾根部等において好ましくないものがある。
北海道江別市対雁:町村敬貴
  
父牛:カ-ネ-シヨン ロ-ヤル ヒツト パレ-ド
  
【未経産の部優等賞1席】
 一般に発育良く体積良く品位に富み乳用牛の特質をよく現わし、乳房の質良く後幅も充分あるが、背線が若干緩い。
千葉県
    
父牛:カ-ネ-シ-ヨン ロ―ヤル リワ-ド
   
-----〈第10部母系統群〉-----
母と娘牛2頭の計3頭
【名誉賞】
 いずれも品位、資質良く強健性もよく表現されており、背線が強直であり腰角および坐骨が広く、乳用性の特質もよく遺伝されているが、やや胴伸びが不足するもの、頸の上縁のき甲への移行が滑らかでない点が僅かに欠点として遺伝している。
母牛(奥):ダイ 2 フエムコ ヒカリ ロベル
北海道江別市対雁:町村敬貴
   
【優等賞1席】
 この牛群は、測尺値の体高比について極めてよく相似していて、各部の均称のよい点、乳用牛の特質が著しい美点は、いずれも強力に遺伝をしており、相似性については、この部における最高得点であるが、前乳区の附着の不足がおしい点である。
母牛(奥):パブスト サイクロン オ-ムスビ-
北海道札幌市厚別町:宇都宮 潤
   
〔系統群〕
 これからの共進会には、個体の改良と並行し、父系・母系の遺伝関係を審査する事が益々必要であろうと考えられる。乳牛改良の観点より共進会のあり方を思考すると、今後 これらの系統牛群の部門の重要性は益々高まるものと考えます。次回はさらに多数の出品がある事を念願します。
 『全共』、「ホルスタインの祭典」として、その開催が定着し、酪農界の飛躍的発展とともに第4回大会が盛大に開催されました。
資料・写真
第4回全日本ホルスタイン共進会記念誌
デーリィマン1966-第16巻・臨時増刊号



□ 人 事 異 動 □
発   令   事   項 氏   名 前  職
平成20年9月30日定年退職
平成20年10月1日付 嘱託職員として企画部企画課審査役
高 橋 邦 博 企画部長
   



ひとこと
 京都駅から左へ、国道1号線を10分程歩くと、そこに今回の旅の目的地、我が家の宗派である本山が広大な敷地の中にあった。
 境内には樹齢350年を越す銀杏の木の葉が黄色く色づき、やがて訪れる冬の支度をしているかのようで、美しさの中にも古都特有のもの悲しさも感じられる11月のことであった。
 8年前、父は食道癌で余命6ヵ月の宣告を受け、10ヵ月後にお浄土へ参った。
 母は同じ年、旅行から帰ったその日の夜、のくも膜下出血であった。
 以前○○総理も言っていたが、「人には3つのがある。上り坂、下り坂、そして」というであり、それは人間誰しも経験しているに違いない。
 月忌参りには住職さん達が見えて、本山のお話などを聞いているうちに、自分も一度は行ってみたい、いや行かなければならない所と思っていた。
 参拝を終えた後、世界遺産になっている境内を案内してもらうと、そこには宝物・建造物合わせて12の国宝があり、さらに25におよぶ重要文化財があった。所蔵されているこれらは何れも鎌倉時代や桃山時代のものが多く、日本人の偉大さ、緻密さ、美意識に驚きと感動を覚えました。
 その後も幾つかの古寺を巡りましたが、苔むした山門の茅葺き屋根、清閑な庭から聞こえて来る鹿威し(添水)の音、妙に心が落着く枯山水庭園、そして、どこまでも穏やかな表情で全てを受入れてくれる多くの阿弥陀如来像を見ていると、何故か目頭が熱くなってしまいました。
 今年のお正月も円高を良い事に、きっと沢山の人達が危険な海外へと向って行くのでしょう。しかし、先ずはこの国の奥深い立派な財産をしっかりと見てからにして欲しい。
 日本の素晴らしさを、今回の旅で再認識したオジサンの願いであります。
 しかし、こんな「悟りを開く」気持ちになったということは…? えっ…!!?
〔眞 澄〕

 
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