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| マイコプラズマは通常の細菌検査で検出することはできません。マイコプラズマ専用の検査を行う必要があります。 |
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| まず、乳汁をマイコプラズマ専用の増菌液体培地で数日間培養し、マイコプラズマのみを増菌させます。この液体培地をマイコプラズマ専用の平板培地に塗沫し、さらに数日間、炭酸ガス培養(酸素濃度が薄い状態で培養)します。判定は実体顕微鏡を使って平板培地に形成されたコロニー(集落)の形状を確認します。培養法は結果が出るまでに1週間、長い場合は1ヵ月以上かかる事があります。検査を行っている間も農場では感染が広がっている恐れがあり、この検出時間の長さがマイコプラズマ性乳房炎の対策を、より難しいものにしていました。 |
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| 培養法は公定法として位置づけられていますが、一方で検出時間の長さが課題でした。マイコプラズマの蔓延防止のためには、より短時間で検出できる検査方法が求められ、こうした背景の中で酪農学園大学の樋口豪紀准教授らにより迅速簡易検査法が確立されました。この検査法はマイコプラズマが特異的に持つ遺伝子を増幅(PCR法)して検出する方法で、検出時間が短縮(3~4日程度)されることや、コロニー形状が類似している非病原性のアコレプラズマを明確に分類できること、多検体処理(280~500検体/日)が可能であること等が特徴です。従来の培養法との相同性も高く、本会でもこの迅速簡易検査法を採用しています。 |
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マイクロプレート上に分注した検体に試薬を分注している様子 |
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PCR検査用サーマルサイクラー |
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電気泳動処理したゲルをUV撮影したもの
※白い横シマ(バンド)が現れているのが陽性サンプル
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十勝管内でマイコプラズマ性乳房炎が大きな問題となったのは、平成20年のことでした。その農場では、発見されたときには既に体細胞数の増加や乳量減少などの臨床症状が表れていました。治療効果が期待できないため淘汰を基本とした対策がとられた結果、多くの牛を淘汰することになり、非常に大きな損害となりました。
この事例をはじめ、平成20年度には3件の感染報告がありました。いずれも大規模農場であったため、大きな損害が生じています。この中には現在も清浄化に至っていない農場があり、対策の難しさを思い知らされています。
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十勝では平成20年度に初めて大きく取りざたされたものの、マイコプラズマ性乳房炎自体の認知度は低く、さらに通常の細菌検査では検出できないため、マイコプラズマ性乳房炎がどの程度広がっているか不明でした。本会では、マイコプラズマ性乳房炎が大きな損害につながることを実感したことから早期発見が最重要と捉え、平成21年度には迅速簡易法によるマイコプラズマ検査体制を整備し、全戸のバルク乳検査を実施しました。その結果、1,532戸中13戸からマイコプラズマが検出されました。これらは、大規模農場に限らず、搾乳牛頭数が40~60頭程度の農場も3件含まれていました。感染牛特定のための全頭検査は7戸が実施し、中には約400頭の搾乳牛のうち約100頭から検出された事例もありました。
こうした状況を踏まえ、平成22年度にはマイコプラズマ性乳房炎の早期発見の一助とするため、年に3回の定期バルク乳スクリーニング検査を実施することとしました。今年度に入り新たに5戸から検出されており(平成22年11月末現在)、マイコプラズマが今もなお静かに拡大しているものと推測されます。
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バルク乳からマイコプラズマが検出された場合には、まず感染個体の特定が重要となります。そのためには全頭検査が一番の近道ですが、感染が疑わしい個体の検査と並行して、その個体乳を含まないバルク乳の検査をすることも有効です。ただし、排菌量の少ない感染牛がいた場合、バルクに合乳することでマイコプラズマの菌数が希釈され、検査の検出限界値以下になってしまうことがあることも理解しておかなければなりません。
マイコプラズマが検出された個体は、臨床症状に応じた対策をとる必要があります。臨床症状を呈していない個体はグループにしてマイコプラズマ牛群として管理し、最後に搾乳します。これは感染経路の多くが搾乳機器や搾乳者の手を介しているためで、他の個体に感染させない作業を最優先する必要があるからです。乳頭清拭用タオルを一頭ごとに取り替えずに、一枚のタオルをバケツの水で洗いながら使いまわしていると、感染の危険性はかなり高まるため絶対にやめるべきでしょう。また、臨床症状を呈していない感染の初期段階に治療すると、ある程度の治癒率を示すとの報告もあります。獣医師と相談の上、検討してください。ただし、治療後の検査でマイコプラズマが検出されなかったからといって完治したとは言い切れません。検査の検出限界値以下の排菌量であることも考えられ、将来的に再発する可能性はゼロではありません。治療後もマイコプラズマ牛群として、隔離した管理が望ましいでしょう。
著しい臨床症状を呈している場合には、淘汰を念頭に置いた対策が現実的と思われます。感染分房のみを盲乳にする等の対策は、他の牛への感染を考えると推奨できません。いずれにしても、感染個体だけでなく、非感染牛を含めた牛群全体の総合的な対応が必要です。獣医師やJA担当者と十分相談して、防除対策の戦略を樹立する必要があります。
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マイコプラズマ性乳房炎だからと言って特別な予防法はありません。基本的にはこれまで言われている伝染性乳房炎防除対策と同じです。マイコプラズマに限らず、乳房炎感染経路の多くは搾乳機器や搾乳者の手によるものです。感染牛は群分けや識別をして最後に搾る、乳房炎感染牛の搾乳ユニットは別にする等といった対策が感染拡大を防止するために有効な手段です。
「最近乳房炎が急に増えた」「治療が効かずに次から次に分房に感染していく」「通常の細菌検査を依頼しても何も検出されない」といったことが多くなってきた場合は、マイコプラズマ性乳房炎を疑うべきかもしれません。マイコプラズマの検査が可能な施設へ検査を依頼してください。本会でも十勝管内に限らず対応していますのでご連絡ください。
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