表1 タイストール、フリーストールにおけるモニターすべき乳牛の行動、居住性の評価方法、改善策 |
乳牛の行動 |
居住性の評価方法 |
改善策 |
ストールに立って何もしない |
ストールの中で4肢で立って何もしない、横臥をためらっている状態。ストール寸法、障害物、牛床表面構造に問題がある。 |
・ストールの幅と長さを改善
・正面柵の障害物を取る
・牛床表面構造を柔らかな素材にする |
パーチング |
前肢をストールに入れ、後肢を通路に落として立っている状態。跛行(蹄病)の可能性がある。パーチングの要因は障害物、ストールの寸法、牛床表面構造、ヘッドスペースに問題がある。 |
・ストールの幅と長さを改善する
・正面柵の障害物を取る
・牛床表面構造を柔らかな素材にする |
斜め(対角線)に起立、横臥 |
不適切なスペースを調整するために、ストールを斜めに利用。正面開口部が狭い、牛床が短い、飼槽間仕切が高い、カウトレーナーの位置が低い。 |
・ストールの長さを改善する
・正面の障害物を取る
・間仕切の高さを下げる
・カウトレーナーの位置を調整する |
後ろ向きに座る |
牛が好ましくないストールを避けている。ストールの幅が問題。 |
・ストールの幅を120~125cmに調整する |
ゆったりした休息姿勢がとれず、飛節にダメージがある |
横臥している時に落ち着かず、横臥している間に狭い所から広い所へ何回も姿勢を変える。その結果、飛節に大きな擦過傷ができる。ストールの設計が問題。 |
・ストールの幅と長さを改善する
・牛床表面を柔らかい素材にする
・ブリスケットボードを10cm程度に低くする
・飼槽間仕切を低くする |
1頭ずつ交互にストールに横臥する |
ヘッドバイパスのストールで牛が一個おきに座り、自分のストールの正面が空席になるように座る。社会的スペース、障害物のない突き出しスペースを確保している。自分より優位な牛を避けている。短い牛床で顕著。 |
・牛床の長さを改善する
・正面の障害物を取り除く |
群れ行動 |
換気不良のフリーストールで牛舎の入り口付近や水槽付近に群がっている状態。 |
・横断換気、リレー換気などで空気の流れをつくり、十分な換気を保証する
・常に新鮮な水を飲水できるように、水槽を掃除する |
後躯のグルーミング(尻尾を舐める) |
後肢と乳房の間を舐める。床面の滑りにくさの指標。コンクリートの床で滑りやすい場合に、体を舐める行動が少なくなる。タイレールが牛床表面より122cm以下で、繋ぎの鎖が短いと後躯を舐めることができない。 |
・フリーストールで床にオガクズなどの敷料を敷くか、ゴムで滑りを防止する
・タイストールでタイレールの高さを122cm 以上にし、鎖を長めにする |
ひざまずき症候群 |
後躯が真っ直ぐに立って前膝をついている状態。要因は飼槽面が高い、カウトレーナーの位置が間違い。 |
・飼槽面の高さを牛床から10cm程度の高さにする
・カウトレーナーの位置を飼槽間仕切りから45cm程度、背中から5cm程度で調整する |
犬座姿勢行動 |
犬のように後肢の上に座り、前足は突っ張った状態。要因は突き出しスペース不足、チェーンが短い、ブリスケットボードが高すぎる、ネックレールの位置が低いか手前すぎる。 |
・突き出しスペースを十分に確保し、障害物を取る
・タイストールの鎖を長めにする
・ブリスケットボードを10cm程度の高さにする
・ネックレールの位置は牛床から125cm程度、牛床後縁から175cmに設置する |