2011-6




第15回北海道総合畜産共進会(乳用牛部門)

オフィシャル・ジャッジ
 カラム・マッキンベン(カナダ ケベック州 酪農家)
アソシエート・ジャッジ
 千 葉 義 博 (当組合 審査部 審査担当次長)
 平成23年9月3日(土)~4日(日)
北海道ホルスタイン共進会場
(勇払郡安平町早来) 
 
 
 
 平成22年に開催を予定していた第15回北海道総合畜産共進会は、宮崎県で発生した口蹄疫の影響により翌年への延期が決定されました。今秋、満を持しての開催となる乳用牛部門の概要をお知らせいたします。
開 催 要 領
1.目 的
 本道畜産の振興を図るため、道内で飼養されている優良家畜の展示を行い、飼養者に具体的な飼養管理並びに改良増殖の目標を与え、その生産意欲を高めることによって、畜産経営の安定的発展に資することを目的とする。
2.主  催  第15回北海道総合畜産共進会実行委員会
3.後  援  農林水産省他
4.協  賛  畜産関係団体他
5.場  所  北海道ホルスタイン共進会場 (勇払郡安平町早来)
6.会  期  平成23年9月3日(土)から9月4日(日)までの2日間
7.日  程  9月3日(土) 8:30 比較審査 (各部毎授賞、講評)
         9月4日(日) 8:30 比較審査 (各部毎授賞、講評)
8.出品頭数  ホルスタイン種 429頭
          ジャージー種    40頭
 出品頭数の地区別割当(ジャージー種は除く)は主催者が決定する。なお、割当頭数の内、半数以上を経産牛とする。
9.出品牛の資格
  (1)  ホルスタイン種登録牛及びジャージー種登録牛。
  (2)  未経産牛については、母が登録協会の検定成績証明済、又は申込中のもの。経産牛については、本牛が登録協会の検定成績証明済、又は申込中のもの。
  (3)  生年月日を第1日とし、平成23年9月30日をもって生後12ヵ月以上のもの。
  (4)  国外牛については、前記(2)の資格に準ずるものとする。
  (5)  輸入受精卵によって生産された出品牛の母牛の検定成績は、当該外国登録団体が発行する血統能力証明書により判定する。
10.出品牛の衛生条件 
 出品牛は、ブルセラ病・結核病・ヨーネ病・アカバネ病・牛呼吸器病について、別表の衛生条件を満たし、所定の衛生検査・予防接種・健康検査を済ませ、獣医師が発行する「衛生検査・予防接種・健康証明書」を提出しなければならない。
 又、真菌症等の皮膚病に罹患していないこと及びイボ等体表(乳房も含む)に異常のないこと。
11.出品者の資格
  (1)  ホルスタイン種及びジャージー種登録牛を所有する者。ただし、同一農家の親子関係にあっては、その限りでない。
  (2)  第1部から第3部までの3部門にヤングブリーダーカップを併催する。 
     誘導者は小学校高学年以上高校生以下とし、その出品牛は出品農家の所有牛に限る。ただし、地元(管内)共進会と同一人が誘導すること。
    ②   農業高校出品牛も含む。ただし、農林水産祭には参加しない。
12.出品申込
   所定の出品申込書と登録証明書の写しを、8月8日(月)までに各地区窓口団体を通じて乳用牛部門事務局に提出すること。
13.審 査 員
   主催者が委嘱する。
14.審査の区分
   出品牛は次の区分により審査する。
部 別 区    分 月・年齢 生年月日の範囲
第1部 後代検定娘牛カーフクラス 生後12ヵ月以上15ヵ月未満 平成22年7月1日 ~平成22年9月30日
第2部 未経産ジュニアクラス 生後12  〃  14  〃 平成22年8月1日 ~平成22年9月30日
第3部 未経産ジュニアミドルクラス 生後14  〃  16  〃 平成22年6月1日 ~平成22年7月31日
第4部 未経産ミドルクラス 生後16  〃  18  〃 平成22年4月1日 ~平成22年5月31日
第5部 未経産シニアミドルクラス 生後18  〃  20  〃 平成22年2月1日 ~平成22年3月31日
第6部 未経産シニアクラス 生後20  〃  22  〃 平成21年12月1日 ~平成22年1月31日
第7部 後代検定娘牛2歳クラス 生後36ヵ月未満 初産 平成20年10月1日以降
第8部 後代検定娘牛3歳クラス 生後36ヵ月以上48ヵ月未満 平成19年10月1日 ~平成20年9月30日
第9部 ジュニア2歳クラス 生後30ヵ月未満 平成21年4月1日以降
第10部 シニア2歳クラス 生後30ヵ月以上36ヵ月未満 平成20年10月1日 ~平成21年3月31日
第11部 ジュニア3歳クラス 生後36  〃  42  〃 平成20年4月1日 ~平成20年9月30日
第12部 シニア3歳クラス 生後42  〃  48  〃 平成19年10月1日 ~平成20年3月31日
第13部 4歳クラス 4歳以上5歳未満 平成18年10月1日 ~平成19年9月30日
第14部 5歳クラス 5  〃 6 〃 平成17年10月1日 ~平成18年9月30日
第15部 成年クラス 6歳以上 平成17年9月30日以前
第16部 ジャージー種未経産ジュニアクラス 生後12ヵ月以上17ヵ月未満 平成22年5月1日 ~平成22年9月30日
第17部 ジャージー種未経産シニアクラス 生後17   〃  22  〃 平成21年12月1日 ~平成22年4月30日
第18部 ジャージー種3歳未満クラス 生後36ヵ月未満 平成20年10月1日以降
第19部 ジャージー種3歳以上クラス 生後36ヵ月以上 平成20年9月30日以前
<注> (1) 第1部から第3部までの3部門のヤングブリーダーカップ参加者に記念品等を贈呈する。又、第1部から第3部までの中で優秀なものにカップを贈呈する。
(2) 第6部未経産シニアクラスは妊娠確実であるもの。
(3) 第7部、第9部は2歳以下であっても出品できる。
15.表  彰
   審査の結果により、次の区分によって表彰する。
ホルスタイン種の部
部   別 出品
頭数
1等
2等
3等
チャンピオン 特別賞
ジュニア
第1部 後代検定娘牛カーフクラス 30
ヤング リザーブ
第2部 未経産ジュニアクラス 30 ブリーダー ヤングブリー
リザーブ カップ ダーカップ
第3部 未経産ジュニアミドルクラス 30 ジュニア ジュニア (1) (1)
チャンピオン チャンピオン
第4部 未経産ミドルクラス 30 (1) (1)
第5部 未経産シニアミドルクラス 30
第6部 未経産シニアクラス 30
インターミディエイト  リザーブ
第7部 後代検定娘牛2歳クラス 28 80 145 204 429 グランド グランド
チャンピオン チャンピオン
第8部 後代検定娘牛3歳クラス 28 (1) (1) ベストP
第9部 ジュニア2歳クラス 30 リザーブ
インター インター
第10部 シニア2歳クラス 30 ミディエイト ミディエイト ベスト
チャンピオン チャンピオン アダー
(1)   (1)
第11部 ジュニア3歳クラス 30 (9)
第12部 シニア3歳クラス 28 2nd
ベスト ベスト
シニア プロダク アダー
第13部 4歳クラス 25 リザーブ ション賞
シニア シニア (6) (9)
第14部 5歳クラス 25 チャンピオン チャンピオン
(1) (1)
第15部 成年クラス 25
429 80 145 204 429 1 1 3 3
<注> (1) 本共進会(道ホルスタインナショナルショウを含む)に5回以上出品した牛については、賞状と記念品を贈呈する。
  (2) 第7部から第15部までの9部門については、乳器審査を同時に行い、ベストアダー及び、セカンドベストアダーを表彰する。
  (3) 第8部、第11部から第15部までの6部門については、2等賞以上の中からSCM換算乳量でトップのものをベストプロダクションとして表彰する。
  (4) 高校生以下のリードマンには記念品を贈呈する。
  (5) チャンピオン、リザーブ・チャンピオンは、各部門の1等賞1席、2席を対象として選出し、選ばれた部門についての表彰の繰上げはしない。
  (6) チャンピオン、リザーブ・チャンピオン6点の中から、グランド・チャンピオンとリザーブ・グランド・チャンピオン各1点を表彰する。
 
 
ジャージー種の部
部   別 出品
頭数
1等賞 2等賞 3等賞 特別賞
チャンピオン
ジュニア
第16部 未経産ジュニアクラス 10 ジュニア リザーブジュニア
チャンピオン チャンピオン
第17部 未経産シニアクラス 10 (1) (1)
8 12 20 40
シニア
第18部 3歳未満クラス 10 シニア リザーブシニア ベストアダー賞&
チャンピオン チャンピオン 2ndベストアダー賞
第19部 3歳以上クラス 10 (1) (1) (各2)
40 8 12 20 40 2 2
<注> (1) 第18部から第19部までの2部門については、乳器審査を同時に行い、ベストアダー及び、セカンドベストアダーを表彰する。
  (2) 高校生以下のリードマンには記念品を贈呈する。
  (3) チャンピオン、リザーブ・チャンピオンは、各部門の1位、2位を対象として選出し、選ばれた部門についての表彰の繰上げはしない。
16.そ の 他 
  (1)  出品牛の搬入は、9月1日(木)午前9時から午後5時、9月2日(金)午前9時から正午までの間とする。
(2)  特に守るべき作法については、別に定める「第15回北海道総合畜産共進会(乳用牛部門)倫理規定」に基づき出品者は、出品牛が適正な準備により審査され、牛本来が備えている資質、あるいは牛体(骨格)構造を欺く行為により共進会の名誉並びに、酪農に対するイメージを汚してはならない。
(3)  出品牛は、牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法(平成15年法律72号)第9条に規定する所定の耳標を装着しているものとする。
(4) 出品牛は、会期中会場から引き出すことができない。ただし主催者の許可を得たものはこの限りではない。
(5) 第6部については妊娠鑑定書を持参する。
(6) 出品者は、審査又は表彰に対し、これを拒み、又は異議の申し立てをすることができない。不正行為等によって褒賞を受けたことを発見した場合には、その褒賞を取り消す。
(7) 出品に要する経費及び損害は、出品者の負担とする。
(8) その他、必要な事項は主催者が決める。
17.付帯事項
(1) 酪農機械器具、資材展示会
(2) チャンピオン予想投票
(3) ジュニア酪農教室及びリードマンコンテスト
     
 
別表 出品牛の衛生条件
検査・注射等の証明
が必要な疾病等
衛生条件等 携帯が必要な
証明書の様式
ブルセラ病 搬入日前1年以内にスクリーニング法(急速凝集反応法)による血液検査又は確定検査(エライザ法及び補体結合反応法)を実施し陰性であること。
(生後90日未満のものにあっては獣医師の臨床検査による)
獣医師の発行
する証明書
結核病 搬入日前1年以内に検査を実施し陰性であること。
(生後90日未満のものにあっては獣医師の臨床検査による)
ヨーネ病 搬入日前6ヵ月以内に家畜保健衛生所のスクリーニング法(スクリーニング用エライザキットを用いた方法)による血液検査又は確定検査(エライザ法)を実施し陰性であること。
(生後6ヵ月齢未満のものにあっては獣医師の臨床検査による)
出品牛は国が定めた「牛のヨーネ病防疫対策要領」に基づきカテゴリーⅠに分類される農場で飼養されていること。
カテゴリーⅡに区分される農場から出品する場合には、患畜最終発生後、3ヵ月以上の間隔を空け2回のスクリーニング法による血液検査又は確定検査を実施し陰性であり、移動自粛期間(最終発生から6ヵ月)を経過していること。
アカバネ病 搬入日前3週間以上6ヵ月以内に獣医師による予防接種を受けていること。
牛呼吸器病
<牛伝染性鼻気管炎(IBR)、
 牛ウイルス性下痢-粘膜病
(BVD・MD) 1型 2型、
牛パラインフルエンザ(PI)、
 牛RSウイルス感染症(RS)、
 牛アデノウイルス感染症(AD)>
搬入日前3週間以上6ヵ月以内に獣医師による予防接種(6種混合不活化ワクチン)を受けていること。
健康である旨の証明 搬入日前1週間以内に獣医師による臨床検査を受けていること。
 注1: 監視伝染病等の発生農場からの出品については、他の出品家畜への感染の可能性も否定できないことから、原則として出品を認めない。但し、清浄化の判断ができる場合はこの限りではない。
 注2: 真菌症等の皮膚病及びイボ等体表(乳房も含む)に異常があるものは、他の牛への感染の恐れがあるため、羅患牛は出品を認めない。
 注3: 「カテゴリーⅠ」とは、清浄確認が行われており、牛のヨーネ病防疫対策要領第3「発生予防対策」の規定により予防対策を講じ、かつ、第6の1「サーべイランスの実施及び証明書の交付」に定めるサーベイランスで陰性が確認された状態をいう。「カテゴリーⅡ」とは、本病の発生があり、第4「発生確認時の防疫措置」に規定する措置又は第5「まん延防止対策」に規定する対策を講じている状態をいう。



2011年共進会ジャッジ研修会
安平町 北海道ホルスタイン共進会場において開催   
講師のケビン・ジョージエンセン氏(右)と通訳の㈱野澤組 中込 稔氏(左)
< 研修会の風景 >
    
 乳牛改良において共進会が果たす役割は極めて大きく、審査眼の統一と審査技術の向上を図るため、共進会ジャッジ研修会を開催しております。
 本年は去る4月20日(水)に安平町 北海道ホルスタイン共進会場において、石狩ホルスタイン改良同志会連合会、空知ホルスタイン改良同志会、胆振ホルスタイン協議会、日高ホルスタイン改良協議会の後援もいただき開催されました。
 予定されていました第13回全日本ホルスタイン共進会の開催は、東日本大震災及び福島県の原子力発電所事故の影響で中止が決定しましたが、道内においては各地区のショウは予定通り計画されていることと、昨年も全共開催を予定して本研修会を開催しなかった事から審査技術の停滞を危惧しショウシーズン前の開催となりました。
 この研修会には、当組合共進会認定審査員22名を始め、受講対象者(過去5年以内に管内クラスの審査経験者)20名、北海道ホルスタイン改良協議会推薦者(同協議会主催の共進会ジャッジングスクールでの成績優秀者)5名の、計47名が出席いたしました。
 開会では、角倉副組合長による挨拶の後、後援団体を代表して日高ホルスタイン改良協議会の梅村義郎会長からも歓迎の挨拶があり、次いで講師及びパネラーとして、アメリカ・EastCentral/セレクトサイアーズ社のケビン・ジョージエンセン氏と通訳として㈱野澤組 中込稔氏が紹介されました。
 ケビン氏は、全米最大の人工授精所であるセレクト・サイアーズを構成するEastCentral/セレクトサイアーズ社において酪農部長を務め、米国ホルスタイン協会が認定するショウの審査員です。
 また、当組合とも関係が深く、昨年亡くなられた前ウイコンシン州立大学 D・ディクソン名誉教授には学生時代に指導を受け大きな影響を受けたとのことで親しみも感じました。
 ケビン氏は、「効果的な乳牛審査」と題して講演を行い、特に①序列付の優先順位(審査標準)②審査の一貫性③比較用語を用いての講評 等の審査に当たる場合の基本、心構えと審査講評のポイントについて説明されました。 その後の実技研修では、討論委員長には当組合の藤澤次長が担当し、未経産1クラス、経産2クラスについて、それぞれ指名された受講者の代表4名による序列の発表と講評が行われ、最後にパネラーのケビン氏がクラスの序列付けと講評を行いました。 

 また、4月から「北海道ホルスタインナショナルショウ倫理規定」の改正により、守るべき出品牛マナーで「背線や尾根部の毛の長さは4㎝を超えてはならない。」と明文化がされ、実際に毛高スケールを使用し測定部位の確認が行われました。

 背線は「頸からキ甲部にかけての部位と十字部」及び尾根部として、毛の長い部分にスケールをあてて長さの許容範囲も確認しました。

 受講者の大半は審査員であると同時に出品者でもあり、地域のリーダーとしても真剣に取組む姿勢が窺えました。

 閉会に当たり、橋本経済企画委員長から、「受講者・後援団体の方々への感謝と受講者の更なる研鑽と活躍を期待いたします」との挨拶をもって、研修会を終了いたしました。
2011年共進会ジャッジ研修会受講者
市町村 氏名 成績 市町村 氏名 成績 市町村 氏名 成績
認定 恵庭市 中川 尚人 認定 G北海道 松浦  栄 対象 G北海道 藤田  功
恵庭市 福屋 栄人 十勝AI 山口 寿典 G北海道 吉田 潤嗣
岩見沢市 今西 善也 ホル農協 小泉 俊裕 G北海道 若原  亮
岩見沢市 瀬能  剛 ホル農協 佐藤  貢 十勝AI 児玉 辰司
帯広市 野原 幸治 ホル農協 千葉 義博 LIAJ 福屋 茂生
清水町 串田 雅樹 ホル農協 藤澤 義美 アルタJ 細野  淳
芽室町 鈴木  進 対象 八雲町 舟橋 秀貴 静岡県 高橋 直人
上士幌町 小椋 茂敏 清水町 松原 秀雄 宮城県 半澤 善幸
大樹町 木村 博文 帯広市 加藤 道博 ホル農協 田井 道広
広尾町 角倉 光記 帯広市 杉浦  尚 ホル農協 稲山 智明
釧路市 成田 純哉 帯広市 吉川  要 推薦 北広島市 岩田 政彦
別海町 山田 博和 更別村 天野 洋一 岩見沢市 中澤 忠治
別海町 山田 光男 陸別町 編田 尚弘 大樹町 木村 達也
中標津町 佐々木昭雄 中標津町 福嶋 信博 別海町 二瓶 義則
中標津町 久保  剛 G北海道 小林 英聡 中標津町 中川  将
G北海道 荒木 敏彦 G北海道 人見 智亮
 認定:当組合認定審査員
 対象:受講対象者(過去5年以内に管内クラスの審査経験者)
 推薦:道ホルスタイン改良協議会の推薦者
 成績欄の*印は成績優秀者です



線形式体型形質の種雄牛評価値(SBV表示)の見方、
間違っていませんか?
EBVからSBVへの変換
 乳用種雄牛評価成績(赤本)には、種雄牛ごとに乳量、乳成分率および体型形質の遺伝評価値をカニグラフで表示している箇所があります。このグラフは、カニの足のように左右に棒が突き出ているので、そのように呼ばれています。
グラフ化に必要な作業は、EBV(推定育種価)からSBV(標準化育種価)への変換、すなわち標準化という作業です。乳量と乳脂量のEBVは、㎏の単位で表示されますが、EBVの標準偏差(ばらつきと表現する場合もある)が異なるので、同じグラフの上で比較できません。乳量のEBVは約±600㎏のばらつきがあるのに、乳脂量のEBVは約±20㎏のばらつきしかないからです。体型は22形質が遺伝評価されていますが、それらもばらつきが異なるため、同じグラフで比較できません。当然ながら、泌乳形質と体型形質も同じグラフで表示できません。これらの形質を同じカニグラフに載せるには、以下の式で各形質のEBVを標準化し、SBVに変換する必要があります。



 現在の遺伝ベースの平均と標準偏差は、2005年生まれの雌牛のEBVから計算されています。遺伝ベースは5年ごとに変更され、次の変更は2015年、その時の遺伝ベースは2010年生まれの雌牛になります。SBVは遺伝ベースを基準にして変換されています。しかし、遺伝ベースを基準にした表示は、SBVだけでなく、EBVも同じです。EBVと違うのは、遺伝ベースの標準偏差で割り算をしていることであり、これを標準化と呼びます。
   
   
図1.乳用種雄牛評価成績の見方(乳用種雄牛評価成績、2010-8月、P18から抜粋)
    
 線形式体型形質(線形形質)のEBVは、各形質によってばらつきが異なります。遺伝率の大きい形質のEBVは、遺伝率の低い形質のEBVよりも広くばらついています。各形質のEBVが同じ尺度のばらつきに変換されることで、すべての形質は同じグラフに表示できます。これが標準化であり、変換後のSBVは、EBVには付いていた㎏やスコアのような単位がなくなり、すべての形質において平均=0、標準偏差=±1に調整されます。それ故、SBVは個体間の比較だけでなく、形質間の遺伝的比較にも利用できます。
 図2にはSBVの分布図を示しました。線形形質のSBVは、種雄牛の頭数が多くなればなるほど釣鐘状の分布(正規分布)に近づきます。SBVの平均(=0)付近は、もっとも多くの種雄牛が存在し、平均から遠くへ離れるにしたがって種雄牛の頭数が減少します。-1から+1の範囲には68%の種雄牛、同様にSBV=±2の範囲には95%、SBV=±3の範囲には99%の種雄牛が含まれます。SBV=0は、前述のとおり遺伝ベースを基準にしています。
 
    
   
SBV=ゼロは、必ずしもスコア5ではない
 ある種雄牛の娘牛平均が集団の平均よりどれだけ差があるかは、SBVで判断できません。例えば、SBV=+3を持つ種雄牛の娘牛は、SBV=-3を持つ種雄牛の娘牛よりも平均スコアでどれだけ背が高いかは、これだけの情報ではわかりません。私たちは、それを明らかにするために更なる情報が必要になります。表1には、各形質のSBVに対応する種雄牛の娘牛の平均スコアの変化を示しました。SBVに対応する種雄牛の娘牛平均は、成牛ではなく、2005年生まれの初産雌牛の平均スコアとEBVの標準偏差を使用しています。これは、線形形質の遺伝評価に使用したデータが初産の体型審査記録だからです。各形質におけるSBV=±1、±2および±3に相当する種雄牛の娘牛平均は、SBV=0に対応する初産雌牛の平均スコアにEBVの標準偏差の1倍、2倍および3倍の数値を加減しています。例えば、高さにおける2005年生まれの初産雌牛の平均スコアは6.19(四捨五入して6.2)、これがSBV=0に相当します。さらに、2005年生まれの雌牛における高さのEBVの平均と標準偏差は0±0.75なので、SBV=-1と+1に相当する種雄牛の娘牛平均は5.4(=6.19-1×0.75)と6.9(=6.19+1×0.75)になります。同様にSBV=±2と±3における娘牛平均も計算します。
 SBV=0に対応する種雄牛の娘牛平均は、形質の違いによって4.6から6.8の範囲にあり、必ずしもスコア5ではありません。SBV=±3の範囲において、蹄の角度は種雄牛の娘牛平均が4.2から5.0の間に分布しているのに対し、後乳房の高さは5.4から7.3の間に分布しています。後乳房の高さは、蹄の角度とは反対にスコア5よりも高い範囲で種雄牛の娘牛平均が分布しています。
 高さの遺伝率は線形形質の中でもっとも高いので(h2=0.53)、EBVのばらつきも大きい形質です。そのため、SBVの±3の範囲における種雄牛の娘牛平均は4.5の差があります。一方、蹄の角度の遺伝率は小さいので(h2=0.05)、EBVのばらつきも小さく、SBVの±3の範囲における種雄牛の娘牛平均は0.80の差しかありません。
1.各線形式体型形質において、種雄牛のSBVに対応する初産娘牛の平均スコア
線形式体型形質 SBV(標準化育種価) EBV 遺伝率
-3 -2 -1 0 +1 +2 +3 標準偏差
高さ 3.9 4.7 5.4 6.2 6.9 7.7 8.4 ±.75 0.53
胸の幅 4.3 4.6 4.9 5.2 5.5 5.8 6.1 ±.31 0.30
体の深さ 4.2 4.6 5.0 5.4 5.7 6.1 6.5 ±.38 0.38
鋭角性 4.6 4.8 5.0 5.3 5.5 5.7 5.9 ±.22 0.25
尻の角度 3.6 3.9 4.3 4.6 5.0 5.4 5.7 ±.36 0.41
坐骨幅 3.7 4.1 4.5 4.9 5.3 5.7 6.1 ±.41 0.34
後肢側望 4.5 4.7 5.0 5.2 5.5 5.7 5.9 ±.24 0.20
後肢後望 4.5 4.8 5.1 5.4 5.6 5.9 6.2 ±.27 0.11
蹄の角度 4.2 4.3 4.4 4.6 4.7 4.8 5.0 ±.13 0.05
前乳房の付着 4.9 5.2 5.5 5.7 6.0 6.2 6.5 ±.26 0.21
後乳房の高さ 5.4 5.7 6.0 6.4 6.7 7.0 7.3 ±.33 0.26
後乳房の幅 4.8 5.0 5.3 5.5 5.7 5.9 6.1 ±.21 0.21
乳房の懸垂 5.2 5.5 5.8 6.0 6.3 6.6 6.8 ±.27 0.20
乳房の深さ 5.6 6.0 6.4 6.8 7.2 7.6 8.0 ±.41 0.46
前乳頭の配置 3.6 4.1 4.5 4.9 5.3 5.7 6.2 ±.42 0.38
前乳頭の長さ 3.3 3.8 4.2 4.7 5.1 5.6 6.1 ±.46 0.31
後乳頭の配置 4.8 5.2 5.6 6.0 6.4 6.8 7.2 ±.40 0.40
EBVの標準偏差:2005年生まれの雌牛から推定、独立行政法人家畜改良センター発行「国内評価概要2011年2月」から引用した、遺伝率:独立行政法人家畜改良センタが種雄牛の遺伝評価に使用しているもの、■:スコア5以上、■:スコア5未満
種雄牛を選定するとき、SBVの見方に注意!
 昨年(2010年)2月、7年ぶりにNTPを改正したときに乳房成分も改正しました。新しい乳房成分では、従来から含まれていた6種類の乳房形質に前乳頭の長さと後乳頭の配置が追加されました。ところで、新しいNTPを使用して種雄牛の序列が公表された直後、「後乳頭が極度に外向する娘牛が生まれるかもしれない種雄牛をNTP上位にランキングするのはおかしい」というご指摘を受けました。さらに「新しいNTPは国の乳牛改良目標を反映していない」という極論まで言う人も出てきました。この問題となった種雄牛の遺伝評価値を見ると、後乳頭の配置のSBVが-3.14(2011-2公表)であり、カニグラフの棒が左側に突き出ています。しかし、表1を見た後ならば、SBV=-3.14が後乳頭の配置の最悪な傾向を示していないことがすぐわかるはずです。
 後乳頭の配置における種雄牛の娘牛平均は、SBV=±3において4.8から7.2の範囲に分布し、ほとんどの種雄牛の娘牛は内付の傾向を示しています。この問題となった種雄牛のSBVは-3.14(2011-2月公表)であり、娘牛の平均スコアで言えば約4.76になります。後乳頭が中央に配置されている状態がスコア4なので、このスコアでも若干内付き傾向にありますが、大多数の種雄牛の娘牛平均と比較すれば理想的な配置に近いことがわかります。このように、中等度が望ましいとされる形質で種雄牛を選抜する場合は、SBV=0に対応する娘牛の平均スコアに偏りがないかを予めチェックしておくことが肝要です。
スコア5が望ましい形質を予めチェック
 図3には、体型の審査標準において中程度が「望ましい」とされる5つの線形形質に関して、実際のデータ分析(生存時間解析)によって評価された淘汰の危険率の変化を示しました。望ましい尻の角度、後肢側望および蹄の角度とは、それぞれ「坐骨は腰角よりやや低く」、「飛節の適度な角度」および「蹄は適度な角度」という表現で審査標準に載っています。この審査標準の中で示された「適度」という言葉を線形スコアで表せば、スコア5付近が「望ましい」ことを示唆しています。これらの形質は、データ分析から得られた耐久性や生産寿命との関係からスコア5付近がもっとも淘汰のリスクが低い傾向にあるので、「望ましい」とされる体型的特長が審査標準の表現とデータ分析の結果において一致する例です。
 前乳頭の配置は、スコア1から5まで淘汰の危険性が低下しますが、5以上のスコアでは淘汰の危険性にほとんど変化がありません。審査標準によると「乳頭は各乳区の中央に配列し、垂下している」と表現されているので、前乳頭の配置はスコア5が「望ましい」スコアとされています。しかし、実際のデータ分析では、スコア5以上であれば淘汰の危険性が低い状態を維持することができます。すなわち、前乳頭の配置はスコア5にこだわる必要はなく、5以上のスコアであれば生産寿命の長短に支障がないことを意味しています。
 前乳頭の長さは、審査標準の中で「太さと長さが適度」という表現から類推すると、線形形質では中程度のスコア5付近が望ましいと考えられます。しかし、実際のデータ分析では、スコア2付近の長さがもっとも淘汰の危険性が低く、それよりも長くなると淘汰の危険性が直線的に上昇します。乳頭の長さのような形質は、審査標準で示された「望ましい」形状と実際のデータ分析の結果とが相違する例です。前乳頭はスコア2付近に相当する長さが最適であって、線形形質の中で中等度とみなした前乳頭の長さ(スコア5)は、生産寿命との関係から判断すれば、少し長すぎるのかもしれません。
おわりに
 線形形質で種雄牛を選抜する場合は、「望ましいスコア」を把握するとともに種雄牛の娘牛平均の分布を熟知しておくことが重要です。線形形質だけでなくすべてに通じることですが、正しい知識をもとに情報を理解し、それらを利活用すれば、より正確な供用種雄牛の選択が期待できるので、結果的に効率良く乳牛改良の成果がえられることになります。 
 
   登録部改良担当次長
登録部改良課係長
河  原
後  藤




平成23年4月28日(金)午後2時
当 組 合 3 階 会 議 室
【報告事項】        
1. 前回理事会(3/25)後の主な処理事項
3/28 (財)北農会 理事会
北海道酪農検定検査協会 臨時総会
/29 北海道乳牛改良委員会(第3回)
北海道ホルスタイン改良協議会 三役会
/30 ジェネティクス北海道 理事会・臨時総会
4/11 北海道ブラウンスイス協議会 
    平成23年度研修会
/12 日ホ本・支局事務局会議
/13 日ホ正副会長・事務局会議
/14   日ホ理事会
/14 ~15 決算監査
/15   JHBS決算監査
/20 2011年共進会ジャッジ研修会
/25 第13回全共北海道実行委員会
    第9回幹事会
2. 日ホ理事会の概要について
【協議事項】
1. 組合員の加入について
期首:1,027名 加入:9名 現在:1,036名
2. 第65回通常総会提出議案について
(1) 平成22年度事業報告書、貸借対照表、損益計算書、附属明細書、剰余金処分案の承認について
・定期(決算)監査報告について
  ・監事意見書に対する考え方について
(2) 平成23年度事業計画及び収支計画の設定について
(3) 平成23年度賦課金の賦課及び徴収方法について
(4) 理事及び監事の報酬について
3. 全共中止に伴う2011ゴールデン ナショナル セール開催要領の変更(案)について
4. (社)北海道酪農検定検査協会役員の任期満了に伴う推薦(案)について
5. 総会出席組合員酪農支援品について




日程 7月4日~7月15日

 □石狩地区
    全管内
 □空知地区
    全管内
 □十勝地区
    豊頃・浦幌・本別・足寄・陸別
 □釧路地区
    釧路・阿寒・鶴居・幌呂・白糠・音別・弟子屈
 □根室地区
    中標津・計根別
 □網走地区
    紋別・上渚滑・雄武・興部・滝上・西興部

日程 7月20日~7月30日

 □胆振・日高地区
    全管内
 □十勝地区
    帯広・川西・大正・音更・木野・高島・池田・幕別・札内
 □根室地区
    根室・別海・西春別
 □網走地区
    網走・佐呂間・常呂・東藻琴・斜里・小清水・清里・女満別・美幌
 □宗谷地区
    全管内

日程 8月16日~8月27日

 □十勝地区
    中札内・更別・大樹・広尾・忠類
 □釧路地区
    標茶・浜中・厚岸
 □根室地区
    標津・上春別・中春別・計根別(一部)
 □網走地区
    北見・相内・上常呂・置戸・訓子府・端野・留辺蘂・温根湯・津別
 □留萌地区
    全管内




 
 春になり、新学期・新年度を迎えると自転車に乗る人が急激に増えます。自転車は、マナーを守れば環境・財布にやさしく健康にも良い便利な乗り物ですが、最近マナーの悪い人をよく見かけます。
・音楽を聴きながら自転車に乗っていて周りの音に気が付かない人
・夜に無灯火で走行している人
・車道の右側を走行している人
・歩道で歩行者の横を猛スピードで通過する人…等
 まだまだあります。
 以前、信号で停車中に左側通行と右側通行の自転車がすれ違う時に、一人がバランスを崩し私の車にぶつかってきました。右側通行で逆走していた人はその場からすぐに立ち去ってしまい、ぶつかってきた人も立ち去ろうとしていたところを呼び止め傷の確認をしました。「そもそも、人の車にぶつかってきておいて、大人が『すみません』『ごめんなさい』の一言がないというはいかがなものか!」と思いませんか?
 自転車は、道路交通法では「軽車両」とされ、夜間の無灯火⇒5万円以下の罰金、右側通行⇒3ヵ月以下の懲役又は5万円以下の罰金などの交通ルールがあり、違反した場合は赤切符を切られ刑事裁判になり前科もついてしまうそうです。これは、自動車で同じような違反をした時の比較的軽い反則金を払えば済む青切符に比べ、かなり厳しい違反になります。
 そのため、取り締まりが難しいのか周りで自転車に乗っていて捕まったという話を聞いたことがありません。
 交通ルールを知らないのか、捕まらないと思っているのか…子供からお年寄りまで誰でも手軽に乗れる便利な自転車だからこそ、交通ルールが厳しくなったり免許制になったりしないよう、もう少しルール・マナーを守って自転車を利用してほしいと思います。
 皆さんはどう思われますか?
H
 
 
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